17 探し続ける苦痛と困難
もともと、間取り図を見るのは好きでした。
たまに変わった間取りを紹介するサイトを
ダラダラ見ながら楽しんだりもしていました。
新居を探し始めた頃も、
いろんなエリアのさまざまな物件を
ワクワクしながら閲覧していました。
しかしそれが次第に”義務”に変わってきて
期限があることを自覚し始めた頃には
もはや苦痛となってしまいました。
あるかどうかわからないものを探す、というのは
本当にキツイものだと思いました。
せっかくお休みを取っても
パソコンとにらめっこして
一日が消化される虚しさといったらありません。
適当に決めてしまえば良いのかもしれませんが
終の棲家であり、金額も半端なく大きく動くのです。
さらにファイナンシャルプランナーとしての知識が
”それに決めたら絶対に後悔するぞ”
とささやき、なかなか妥協させてくれません。
タイムリミットは迫り
ワクワクさんはすっかり
ハラハラ君に変わっていました。
もう少しでイライラ様に変わる予感すらありました。
明渡日まであと4か月あるなら大丈夫、
そう思われるかもしれません。
しかし実際はそんなことないのです。
家の購入には驚くほど手間と時間がかかるのですから。
内覧で気に入り、購入を決定したら
指値(希望額)で申込書を出し、
売り主がOKすれば決定。
まずはローンの事前審査(3~7日かかる)をし
それが通ったら本審査へ移行します。
住宅ローンの本審査は、
銀行が融資の可否を決める最終審査です。
必要書類を提出し(これの記入が大変)、
申込者の返済能力、物件の担保価値等が詳細にチェックされます。
結果が出るまでの期間は通常1~3週間程度で、
事前審査を通過していれば落ちる確率は低いですが
過去に未払いや滞納の履歴があったり
物件が違法建築(建蔽率オーバー)だったりすると
”違法建築物”とみなされ融資対象外となってしまいます。
そこでOKが出ても、融資はそれからまた先です。
銀行に対して”すぐに何千万用意しろ!”というのは
誘拐犯か銀行強盗しか出来ない要求です。
銀行と”住宅ローン契約”を結び、
1週間後くらいにやっと融資が実行されることになります。
つまり、物件を決めてから引き渡しまで
「最低でも一か月から一カ月半はかかりますよ」
と不動産会社の人たちから言われていました。
さらに。
無事融資を受け、支払った後、
新居の鍵を受け取ることができますが。
私たちが探していたのは主に中古物件なのです。
それからやっとリフォーム工事ができるのです。
しかも現在、戦争などのいろいろな理由により、
リフォーム資材の入手に遅れが生じているとのこと。
全室や廊下の壁紙、床をまるっと新しくし
ユニットバス、キッチン、トイレの交換をするとなると
1カ月は論外、2か月は最低でもかかると聞きました。
あと4カ月。
結構ギリギリの状態です。
焦りにふるえながら物件を探す毎日でした。
そんな中、頼りにしていたのはAIです。
法律や事例などの情報収集や確認に役立ち、
乱立する候補の選別について、
客観的な視点を持ち込んでくれます。
また、こちらの知らない過去の物件情報なども提示してきて
「この物件は先月まで〇〇万円で売ってましたよ。
だいぶ思い切った値下げしたようですね」
などと教えてくれます。
といっても、AIの活用には注意が必要です。
第一に、回答を丸ごと信じてはいけません。
ジェミニ、チャッピーなどいろいろ試しましたが、
IDやタイミングによって回答は大きく変わります。
なんなら平気で真逆の事をいいます。
サラッと嘘の情報を盛り込むし、
こちらの説明が拙い場合は
勘違いしたまま話を進めます。
それから意外と忖度します。
物件をいくつか比較してもらった時
こちらの今までの発言をちゃんと覚えていて
事実というより”私が喜びそうなこと”を言ったりします。
例えば、最初の第一希望の土地。
最初に相談した時は
「いやーお目が高い! あの駅、本当に最高ですよ」
「まさに理想的な立地で、最もおすすめの場所です」
とべた褒めしてくれたのですが。
後で私がそのエリアのネガティブな情報を知り
彼ら(AIたち)に確認してみると
「そうなんですよねー、あの路線、
しょっちゅう遅延が発生するんですよ。
通勤・通学にはイライラするかもしれませんねえ」
「普段使えるお店は案外少なくて
結局みんな隣の駅まで買いに行ってるみたいですね」
というように、”最初に言ってくれよ”的な対応もありました。
最も使えるのは、
メールの文例を考えてもらうことでした。
「思ったより狭いし間取りが変だから見送りたい」
というのを、丁寧な、申し訳なさそうな文に変えてくれます。
どんな言い回しが良いのか迷う位なら
状況と、あちらからのメールを教えて
”とりあえず保留にしたい”
”そのエリアは住みたくないんです”
といった”こちらの意思”を伝えると、
だいだいの文例を考えてくれます。
この時大事なのは、そのままコピペしてはいけません。
言い回しがかなり”AI構文”なのです。
(わかる人は刹那でわかります)
そもそも、チャッピーくんもジェミニさんも
けっこうクドイ文章になりますし。
なので随所を訂正してから送付することになります。
そんなこんなで、AIたちにはお世話になりました。
ワクワクしながら探している時は
楽しく会話?していたのですが
長く探しているとだんだん
”このままではダメだ……”的な
重く暗いムードが漂っていました。
ついに、もし間に合わなかった時のために
いったん借家へ仮住まいすることについて
AIたちに相談してみました。
彼らはもろ手を挙げて
「変な物件に決めるくらいなら仮住まいしちゃいなよ」
と賛成してくれたのですが、私が
「もし仮住まいになってしまったら、
猫2匹OKの物件を探すのが大変なんです」
と返したら。
さも”名案を思い付いた!” とでもいうように
「では、猫は一匹にしましょう!」
と返されました。
AIは、本当に血も涙もなかったです。




