16 増え続ける条件
刻々と時間が過ぎ、少々焦りを感じ始めたころ。
日曜の朝、いつものように
物件チェックをしようとメールを開いたら
”今日の新着”として、
その物件Kの情報が届いていたのです。
一番最初に希望していた駅でも、
最近発見した”新大陸”でもありませんが
社会的にはそのどちらよりも人気がある、
超絶メジャー路線の物件でした。
なぜか値段も、買えなくもない設定の。
とりあえず見てみようじゃないか、ということになり
すぐに担当に連絡してみたところ、
なんとその日のうちに内覧する運びになりました。
再建築可能な、所有権の新築物件。
あまりに都合の良い条件に
”訳あり”なのか疑いましたが、
確認したところ、別にそうではありませんでした。
内覧に行ってみると、
完成間近のその物件は、
”条件的”には希望どおりでした。
なぜお買い得価格なのかといえば、
奥まった旗竿地であること、
駐車場が無いこと、
そしてかなりの狭小住宅だったからです。
隣家との距離は極めて近いため、
窓からの日照は少なめです。
そのかわり屋上にちんまりとしたルーフバルコニーがあり、
太陽を求めるミーアキャットのごとく
日光浴するのに適しています。
人物で例えるならまさに”期待の新人”という感じです。
まだ学生の雰囲気が抜けない、
なんなら内定をもらったばかりの人。
内覧しながらも、とんとん拍子で話が進み、
その場で担当から物件の詳細や
ローンについてなどの説明を受けました。
家を買う時、それにかかる費用は物件価格だけではありません。
税金などの手続きにかかる金額と、仲介手数料。
そして引っ越しや古家財の処分にかかる費用などなどです。
まず消費税については、野菜や家電を購入した場合とは別で
建物のみにかかる消費税は、ほとんどの物件が
”消費税込みの価格”で表示されているため考慮する必要はありません。
住宅購入にかかる税金とは、
「購入時(1回きり)」と「購入後(毎年)」に分かれます。
購入時には印紙税、登録免許税、不動産取得税などがかかります。
不動産取得税にはさまざまな軽減措置が用意されていますが
その控除を受けるには、不動産を取得した日から
原則として20日~60日以内(自治体により異なります)に
管轄の都道府県税事務所へ申告が必要なので要注意です。
購入後には固定資産税と都市計画税が毎年発生します。
これは毎年1月1日時点で、
土地や家屋を所有している人に課される地方税です。
これも軽減措置が用意されていますが、
忘れた頃に”〇〇万円払ってね”と来るので
あらかじめ心とお金の準備が必要です。
その他、仲介手数料なども侮れない金額です。
これは仲介を依頼し不動産会社に対し、
契約が成立した際に支払う成功報酬です。
法律で上限額が定められており
”物件価格の最大3%+6万円+消費税”となっています。
物件サイトに必ず表記されているのですが、
ほとんどの不動産会社がこの上限で設定されている中、
たまに”仲介手数料無料”のところがあるので見逃せません。
何故なら、例えば5000万円の物件なら
150+6+15.6 = 171.6万円
となります。これはデカい。
”扶養の上限”を楽々超え、軽自動車が買える値段です。
不動産会社自身が売主の場合は
仲介手数料が無料になるので”売主直売”も要チェックなのです。
今回のこの物件はそうではなかったので
まんまと仲介手数料がお見積書には含まれていました。
税や引っ越しなど、これからかかるさまざまな出費を考えると
”家の購入”というのはしっかりした予算を
見積もっておくべきだと思われます。
なお、申し込み時に必要なのは”手付金”です。
手付金は物件価格の通常5%となっているため
”家を買うなら全額ローン返済にしよう”と計画されている場合も
購入予定の5%くらいは用意しておいたほうが良いかと思います。
説明を受けながら私たちは
”ここでいいかも”という気持ちと、
わずかな違和感を抱えていました。
「申込書をここで書きますか?」
と聞かれましたが、夫と顔を見合わせて、
とりあえずその日は持ち帰りにしました。
感じていた違和感は、
具体的にそこを”新居”として考えた時に明らかになりました。
まず、圧倒的に狭いのです。
間取りは確かに3LDKなのですが、
建物面積は70㎡もなく、
体感としてはもっと狭く感じました。
そして窓や出入り口の配置から、
ベッドや本棚、テレビやダイニングテーブルを
どこに置くべきか悩ましい間取りとなっていました。
狭小地に無理やり建てたため、
階段やドアの設置が優先され、
実際に生活する動線を考える余裕はなかったのでしょう。
現在広めの4LDKで暮らしていたこともあり、
「あれ? ここだと荷物は入りきらないんじゃない?」
と気付かされたのです。
”新人君”にまかせるには
うちのような古所帯は難しい案件であり、
新婚夫婦のようなフレッシュなご家庭向きかもしれません。
不動産会社に必ず間取りを聞かれるのですが
必要な平米数(建物面積)を考えたことはありませんでした。
その他、駐車場がないことや日当たりの悪さも含め、
この物件は辞退させていただくことになりました。
なお、内覧はできるだけ早い方が良いです。
良い物件を見つけたらすぐに電話し、
内覧の予約を取りつけましょう。
その日に内覧できる回数は決まっているので
「今週末のぶんはすでに埋まっています」
と言われてしまうことがあるからです。
内覧が翌週にまわるということは、
その間に決まってしまう可能性が高まってしまいます。
また婚活と違って、不動産売買は結構、
”申し込み順を優先してもらえる”、
と不動産会社の人に聞いたことがあります。
”ここは絶対に逃さん”と思ったら、
平日でも行こう、と心に決めつつ、
条件に”建物面積”を加え、探し続けることしたのです。




