12 不動産会社との距離感
今までたくさんの物件をメールで紹介してくれて、
内覧にも数回連れて行ってくださった
おなじみの不動産会社さんがいました。
その人は質問に対してすぐ調べてくれるなど
とても熱心に対応してくださっていたので
(試食したら買わずにはいられない性格もあって)
いつかこの人に紹介された物件で
決まると良いね、と夫と話していました。
”内覧しても買わなかったら、
案内してくれたのに申し訳ない”
私たちはそう考えていたのですが、彼は力強く否定し
「見るだけでもいいんですよ!
物件サイトで気になった物件は全部教えてください。
どんどん、まとめて見に行きましょう!」
と”お気に入りツアー”を申し出てくれました。
なので私たちは素直に、
彼に”お気に入り”物件を次々と報告していましたが。
時々、あれ? ということがありました。
例えば集合場所に到着してから
「今日見るはずだった物件、昨夜売れちゃったそうです」
と言って、違う物件を見に行ったり。
内覧希望したはずの物件が
なぜかスルーされていたり。
その日も、いくつか送ったうちの2軒を
見に行くことになっていました。
一件目の物件Gは、希望駅の隣の駅でした。
「人気の駅ではなく、その1つか2つ先を狙え」
というのは物件探しのセオリーです。
ここは前回(落ち着かない街だった)と違って、
穏やかな住宅街で良かったのですが
物件自体はなかが古すぎてダメでした。
いわゆる”若作りしているおじいちゃん”で
ちょっと無理しちゃってるところが
余計に危なっかしく感じました。
案内してくれた彼は、私たち以上に落胆して見せ
「あれはリフォーム代が一千万円以上かかりますよ」
と言い出したのです。
内心、”え? そんなにかかるかなあ?”と思いつつ
まあ戦争などさまざまな要因で
リフォーム代金が値上がりしていると聞いていたので
とりあえず自分を納得させました。
しかし次に連れて行ってくれたのは、
私たちのリストにはない、
彼のおすすめ物件でした。
”え、その駅って初めて聞いた名前なんだけど……”
というレベルの、なんなら今の住居より町はずれの駅でした。
動揺しつつ言われるがままに物件の中に入ると
そこは中古物件を業者が買い取ってリフォームしたそうで
内装も水回りも新しく、とても綺麗になっていました。
彼はグイグイと私たちに勧めてきました。
「完全フルリフォームなのですぐに住めますよ!」
「部屋数も完全にご希望通りですよね?」
「駅からも8分ですし! ピッタリですよ!」
ちょっと待ってください。
3LDKなんて、たいていの物件が希望通りですし、
駅からの時間よりも、駅が大問題なのですが。
しかもちょっと価格が高いのです。
何も言えない私に対し、
夫は冷静に室内を見渡していました。
そう、綺麗にはなっていても、どこか不自然なのです。
いわゆる”着飾っているけど目が笑っていない人”のような。
夫は内装の粗雑さ(継ぎ目が目立つ、シワ、隙間など)を指摘し
カビが生えたままの個所を見つけました。
さらにその家は、とても不自然な個所があったのです。
特定されないようにボヤかしますが
簡単に言えばそれは、”明確なトラブルの痕跡”だったのです。
しかし担当の人いわく、そんな経歴はないと断言しました。
「そういった場合は必ずお伝えしないといけませんが
申し送り事項には記載されていません」
そうはっきりと答えられると、もう何も返せませんでした。
なんだかモヤつきましたが、
そもそも希望の駅からは程遠い町にあるその物件を
とても購入する気にはなれず、
丁寧に辞退して帰りました。
しかしその数日後、私たちは気が付いたのです。
(ちょっと遅すぎかも)
彼が今まで”売れた”と言っていた物件は、
売れてなどいなかったことを。
”あれ? まだここが物件サイトに載ってる”と思い
ダメもとでそのサイトに連絡先として掲載されている
不動産会社に問い合わせたら……
普通に内覧へと進めたのです。
詳しく聞けば、一度も申し込みが入ったことは無い、と。
まんま信じていたので、正直ショックでした。
おそらく不動産会社のライバル関係か、
紹介料を折半できないなどの理由で
扱えない物件が存在するようなのです。
私たち夫婦は後悔しました。
まとめてみせてもらうのは、
車で連れて行ってもらえて楽だけど
それではダメだったのです。
私たちはそれ以降、内覧の希望は、
やや面倒でもそれぞれ個別に、
サイトに管理会社として
明記してある会社に直接依頼することにしました。
そうすることで、また決まっていないのに見逃す、
といった悲劇を防ぐことが出来るようになりました。
内覧できるかどうかによって、
変わってくる未来もあります。
不動産会社の方は一様に
「物件サイトで気になるものがあったらすぐ教えてください。
まとめて内覧にご案内いたします!」
とおっしゃってくださるのですが。
物件サイトの情報を細かく読んで
”専任”か”仲介”かどうかを見極め、
仲介手数料の有無などをきちんと確認し
仲介してくれる不動産会社を吟味して
内覧の申し込みをしたほうが良いです。
内覧してくださる不動産会社が
”売れればどこだって良い”などと
思っているわけではありません。
利益率か薄いのか、
物件によっては内覧しながらも
「ここは絶対辞めた方が良い!」
的なことを言います。
それも、買う気が失せるほどボロクソに。
さらに言えば、上記の物件のような
”不動産会社が買って欲しい物件”を
無理やりねじ込んで来ます。
そのような物件は割高だったり、
長い間売れ残っているものだったりします。
……正直ガッカリです。
とはいえ、その不動産会社の担当さんとは、
そのまま何食わぬ顔でお付き合いは続けました。
(内覧をお願いする回数は激減しましたが)
何故なら、彼らはボランティアではなく仕事でやっており
利益を優先して当然だからです。
少しでも高いものを買ってもらい、
仲介手数料を増加しようとするのは仕方のないことです。
大切なのはこちらの心構えでした。
自分の希望や基準を見失わず、
不動産会社には頼り切らず信じきらないけど、
丁寧に、誠実につきあっていこう、そう思いました。




