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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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215, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑩ 星の中 ③

 ゴーレムハウスに俺たちに続いて入ったジボはまだとしても、この場の責任者であるリューグの第一姫のユーコまでもが続いて入ってしまう事態になって驚いたのは俺たちを囲んでいた護衛の者たち。


「ひ、姫様!どちらに行かれまするか?」

 ユーコのお付きの者たちの慌てぶりは、ドタバタ喜劇を見ているかのようでもあった。


 そりゃそうだよね、俺たちだってその言い分に唖然としたのだから。

 捕獲するつもりだった者たちと一緒に行動しようかというのだから。

 しかもその行動の元といえば、バトルロボとかいう摩訶不思議なモノのためなのだ。


 聞き耳を立ててみれば、この部屋の外で待ち構えていた家臣たちは、すわ、ユーコ様、ご乱心かとばかりに大慌てではあったらしいが、ね。


 その時部屋にいた部下たちに残した言葉がコレ。

「あたし、こいつら見張っているからって、親父殿に言っといて!」

 そのまま、女性陣に連なってゴーレムハウスの中に入って来ちゃいましたよ、この方。


 その後は、ひとまず腹を満たすのが先決とばかりに宴会に入りました。この後の行事が詰まっていますから、アルコール類は無しです。


「いやぁ、『最強の矛盾(プラチナム)』と『極寒の騎士団(アブソリュート)』がこんなところで勢揃いとは……な。」

 ジボがひとりごちる。

 彼は、口ではそう言いながらも現在の段階での最高出力を模索しているはずだ。


「むぅっ、美味いな。このメンツでの食事は初めてだが、いつもこうなのか?」

 プリンを片手に、ご満悦。

 地球の地底世界では魔法の出力が安定しないのか、従魔たちを召喚出来ていなかったが、このゴーレムハウスの中ではそうでもないらしく、ポコポコと出て来ています。


 モフモフとか、ドラゴンとか入り混じって、楽しく食事会をしていますが、その中にあって浮かない顔をしているのがひとり。


 食事もオヤツ……デザートも美味しいのに、ところが当のユーコ様はそれどころではないようで、女性陣の胸部装甲をガン見いたしております。

 ご本人さまのソレは、非常に慎ましく。非常に気にしておられるご様子。


「コラァ、ソレゆうなぁ。き、気になんかしてない。してないったら、してない!」

 顔、真っ赤ですけど。

「う、うるさいぃ。」

 涙目です。


「こらぁ、セトラぁ。ユーコをイジメてんじゃないわよ。それとも嫁にする気?」

 ホシィクさま、ご降臨。言うに事欠いて嫁はヤメテ。

 嫁たちがコワイです。


「「「「「「セトラさま、正座?」」」」」」

「うわぁっ。」


「ほら、アイツのことはあのヒトたちに任せて、お風呂行くよ、ユーコ。」

 今は、二本脚のテュッキアがユーコを誘っていました。

 とはいえ、テュッキアってお風呂大丈夫なんでしょうか。


 元々は蜘蛛(アラクネ)ですよね、アノ方…って。

 うわっ怖ぁ。睨まれちゃいました。

「セトラぁ、余計なこと(ゆー)なよ。」

「へーい。」

 口は禍の門ですからね、くわばらくわばら。

 女性用も男性用も風呂までは、案内板を設置してあるので迷子にはならないでしょう。


「「「「「「セトラさま、正座? 折檻(もふもふ)ね!」」」」」」

「え…、うわぁーっ。リ、リアリー(マジか)?」

「「「「「「オフコース(もちろん)ね!」」」」」」



 羽付き子狼の姿で折檻(もふもふ)されておりましたので、テュッキアたちのその後は追えませんでしたが、そんなことをしなくても見てきたヒトが再現しておりましたので、ユーコは今もまた涙目のまま、こちらを睨んでおります。


 なんでですかい?


「ユーコってば、お風呂に感激していたんだよ! 浄化槽はって(きー)たら、やだって言ってた。でもぉ、みんなと一緒にお風呂入ったんだけけど。変なの、涙目だったんだよ。えっとー、大きさはわたしとおんなじくらい!」

 と、解説してくれたのは、パットでした。


「ショッツは、どこ! どこなの!」

 ユーコが必死なのは、レイやジュウンたちから聞いた例のインフルエンザのキャリアーの居場所。彼女も前世ではその恩恵にしっかりと(あずか)っていた者の一人。


「ユーコぉ、あいつはまだ療養中だし、あいつ単品では、大した成長は見込めないぞ。」

 俺としては、あいつには、無理をしてほしくなかった。


「そうね、風邪の精霊と特殊なドリンクが必要だわ。」

「アンタって、飲めたっけ? 甘酒。」

「うっ、マジ?」

 武家の姫としては、酒が呑めないのは死活問題だ。

 宴会のたびに匂いだけでやられていたら、気のある誰かにお持ち帰りされてしまう危険が倍増しになるからだ。

 貴族なんかは、幼少の頃から肝臓を鍛えているのは有名な話だ。


「これがマジなんだなぁ、ワンサイズ違うよ。」

「ぐぬぬ、死ぬ気で呑む!」

 女子たちが盛り上がっているが、そう簡単には事が運ばない。


「それもこれも、ショッツが起きればの話だ。」

 そう告げる俺に、ユーコが不思議な声音で問い掛けてきた。


「あそこで動いているヒト型ゴーレムは何なの?」

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