216, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑩ 星の中 ④
あけましておめでとうございます
新年初投稿!
「えっ、ヒト型ゴーレムぅ? あぁっ、アイツ何しているんだよ!」
ユーコの言った通りに、ヒト型ゴーレムが用意してある料理の中を歩き回っていた。
ひとまず、元気が出たようではあるのだが、その行動はアイツ主体ではないんじゃというところが疑問点が浮かぶところだ。
「そこのヒト型ゴーレムは、何をしているのかな?」
そう声を掛けると、ビクッとゴーレムの石の体を震わせた。
ビクビクとぎごちなく振り返ったゴーレムが一言。
「や゛、や゛あ゛。ひがしぶり! アダっ…。ひでぇっブッ!」
俺は、ショッツのやらかした、つまらないボケに二,三発ツッコんだ。
「おまえは~、しょうもないことしてんじゃねえ! だが起きたんなら、しょうがねぇ。おめえに、例のヤツの客だ。掴んでやれよ。」
そう言って、望外のチャンスに両手を出している笑顔のユーコを俺がサムズアップで指差しているのを見て、事のアレコレを察して苦笑いしていたショッツは行動を起こす。
「あ~、了解。」
そちらを見て、頬をポリポリ掻きながらそう言って、ユーコの元へ歩いて行った。
本当は、ここで目覚めて欲しくはなかったんだけど、しょうがねぇよな。
こいつが居るのと居ないのでは、戦略が違ってくるからな。
そのための『地平線女神の希望』の播種くらいは、必要経費かなと、高をくくっていたら……。
「ぎゃあ!」「ぐほぅ!」
と、二人の声が聞こえたと思ったら、ゴーレムが吹っ飛んできた。
そちらを振り返ると、ユーコが胸を押さえて右手を振り抜いた姿で、フー、フーと毛を逆立てた猫のような顔でショッツを威嚇していた。
「ショッツぅ! フ※ャ§♂±ー!」
勿論、顔は真っ赤である。
「セトラ、掴んだら、殴られた。」
立ち上がったショッツの顔は、見るも無残に腫れ上がっていた。
誰のドコをどうしたのかは、既に明白だったけど、問い詰めたくなるよね。
「ショッツ、なにをやっているんだ?」
「セトラが掴めって言ったから、こう…ワシワシっと、ね。でも一応、確認したんだぜ。本調子じゃないんだけどって、それでいいかなって。」
ショッツは、痛そうに顔を歪めている。
「え…、本調子で無いってひょっとしてアレ?」
「ああ、アレ…。おれの体質、変わっていなかった…。しかも、風邪の精霊が顕在化しているから、ほら、コレ…orz」
コレと言って俺に見せてくれたのは手。
「男の手って言えるか?」
不安そうなショッツに俺は駄目出しをする。
「悪りぃ、とてもじゃないが無理。おまえのものとも思えない綺麗な女性の手だな。」
そこに有ったのは、俗に言うシラウオの手と言われるヤツ。
俺の素直な感想に、ショッツが項垂れた。
「だからと言って、いきなり胸を揉むって何なのよ、いったい。」
「精霊が眠っているから、あいつら並が難しかったんだよ。」
「そんな言い訳が通じると思って……?」
『極寒の騎士団』のリーダーらしく、凍えるような物言いだったが、そこで異変が彼女を襲う。
「う……、うあああああっ。うううっ。あ…、あうっ。むぅ…、ふぅううう。」
ユーコがいきなり胸を掻き抱くと同時に蹲った。
「あんたたちは、出て行きなさい!」
こちらを見ていた、イクヨ、テュッキア、ホシィクなどの主要メンバーがユーコの異変に気付いた。
『地平線女神の希望』独特の症状だった。
彼女たちも経験したアレ。その辛さも、悦びも同じように経験している。
その彼女たちがユーコのために特殊ドリンクも用意して、部屋を閉め切った。
「あれ、おれは……。……ま、いーか、とりあえず腹減ったし、メシ食おっと。今のところの変化は声と手か。はぁ、今回はどこまで行くのかな? 魔法なんて無かった前世でも、あそこまで変態したってことは……。今回は精霊も居るし、考えたくないかも……。」
俺としては、悩めるショッツの現状を変革するには、あいつに憑いた精霊を従わせる手段を探すことしか、応援出来ないらしい。
それには魔物誑しと、風魔法の源である、源の白をレベルアップすることしかないようなのだが、俺としても、まだ源の白(風)Lv31→Lv45に上がったばかりで、特典やスキルにも、進展が無い。
ただ、ショッツのレベルアップを期待してもいいかもしれない。
アイツとショッツの相性は抜群なんだから。
「最高だから、悩みが深んじゃないか。前世でも雌雄同体まで行った。今回は、もしかすると完全変態しそうなんだよ。」
アッチコッチ触っては、確かめるショッツの姿に想像を膨らませる。
「そりゃ大変だ。」
ショッツの未来を想像して、俺も頭を抱えた。
只でさえ、普段の冴えない姿が変わるのだ。
前世の仲間たちならともかく、王族に目を付けられると厄介さが増す。
バトルロボの会場は、貴賓席が八割、いやな予感がするよ。




