表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢サディアの失恋【完結】【6/16おまけ話追加】  作者: 藍銅 紅@『お姉様はずるい』コミカライズ連載中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/29

第25話 エリザベス②

「んんん-、エリザベスの話を聞いただけでは判断はできねえなあ……。デライザお嬢様とやらをウチの国に連れてくることはできねーのか?」


チェン医師の隣の席で、ホワン医師もお茶をすすりながらこっくりと頷いている。


「こっちに来てくれれば、妊娠から出産まで面倒見てあげられるんだけど」


……チェン医師とホワン医師のおっしゃることは真っ当です。当然よねぇ。


真っ当だけど……、体のお弱いデライザお嬢様をトルニーヤ国、通称医療大国まで連れてこられるのかって言えば……難しいな。


うーん……。

国を出て、まず北側にある島国まで、わたしは船で渡った。そこで昆布を採取して、乾燥して、使い方を学んで、その他健康減塩食を学んで。

物資と手紙をロバート様に送った。

ロバート様はわたしが送った荷物とメモを元に、館の調理人と共に、デライザお嬢様食事改善計画を立て、実行し、体力増強のための、無理のない運動もして……エト

セトラ。


デライザお嬢様は以前と比べて、ずいぶんとお体の具合は良くなったらしい。


ロバート様の手紙によると、長期間寝込むことも減ったとのこと。


それは嬉しい。嬉しいけど……。


静養のための館でならお元気でお過ごしになれるかもしれないけど……。


トルニーヤ国にやって来るにはどうしても船旅になる。


そりゃあね、わたしがたどったルート通りに、国を出て北の島国に行って、それから西の大陸に進む……なんて遠回りをしなくても、直接トルニーヤ国に船で来るって手段は……。


「わたしの国から直接トルニーヤ国に来ることって出来ましたっけ?」

「いやぁ……、オレは聞いたこと、ねえなあ……」


直行便はないのか。ぐるっと北を半円状に遠回りしなくても、船で海を直行すれば、わたしの国の西にトルニーヤ国があるんだけど……。


問題は海なのよねえ。


ウチの国から北の島国に船で向かうのなら、島の対岸は見える。

だけど、ウチの国の西側の港から、真西を見ても……トルニーヤ国の岸は見えない。

そのくらい、すんごく遠い。


「えぇとねー、そのうち直通できるようになるって噂話は聞いたことあるけど」

「え⁉」

「大型船舶が止められる大規模な港……というか、護岸は完成したようよ?」

「マジ⁉」

「ええ。なんでも、王弟殿下が船旅に目覚めちゃったとかで」

「わー……」


権力万歳。


「それでも数年はかかると思うけどねえ……」


お茶を飲んで、立ち上がったホワン医師。


「さ、休憩終わり。エリザベス、ちゃんとご飯食べ終わったわね?」

「はいっ!」

「今日は満月だから、夜には多分出産ラッシュ。あなたも見学だけじゃなくて、手伝ってもらうわよ?」

「はいっ!」


トルニーヤ国にやってきたわたしは、とにかくお嬢様のために! と、医療系大学の講義を聴講させてもらったり、大きな病院を見学させてもらったり。とにかく、伝手を頼りに、あちらこちらと人を紹介してもらいまくりで、精力的に活動した。


その際に、この大病院……、入院設備もある大きな病院で働くチェン医師とホワン医師に何故だか気に入られた。

ありがたいことに、時間があるときは昼食や夜食をご一緒させて貰ったり、お仕事を見学させてもらったり。


最近では、ホワン医師の助手の助手の助手……的な感じで、出産のお手伝いもさせてもらっている。


もちろん講義を聴講している程度でしかないわたしが、医療行為はできない。

できるのは、出産がもうすぐな妊婦さんの背中を摩ったり、お水をお渡ししたり、タオルを用意したり、お湯を沸かしたり……等々の手伝いだけだ。


出産って、どういうわけか、満月の夜に多いらしいのよね。不思議。

だから、今日は一晩中、ホワン医師も、助産師の皆様がたも、すんごく忙しい。わたしも下働き、がんばるぞー!


だって、この経験はきっと、将来、デライザお嬢様が……出産可能になった時に、役に立つ……はずなんだから。



そんな感じで、いろいろ学ばせていただいて。

ロバート様にもこまめに手紙を書いている。もちろんデライザ様にも。


いつか、デライザ様が、こっちの国に来ることができたのなら。

いつか、大型船とかに乗って、直行船とかが出来れば。


得た知識だけではなく、こんなことできたらいいなーみたいなことも書いて……。書いて……、かい……て……。



まさか、本当に、デライザ様がトルニーヤ国に来れるようになるとは……。

ロ、ロバート様……、あなた魔法使いですか⁉ それとも錬金術師ですか⁉

デライザお嬢様に対する愛が……、愛が……、すごい……。



***



数年ぶりの再会を喜ぶよりも……、どうやったのと問い詰めたい気分もあるんだけど……。


「お久しぶりです、デライザお嬢様。そして……ロバート様」

「やあ、エリザベス、久しぶり。君のおかげで、ここまでデライザを連れてくることができたよ、ありがとう」

「……わたしのおかげというよりは、ロバート様のおかげでは」

「はっはっは! もちろんエリザベスの頑張りの成果だよ! 俺はそれを実現させただけ!」


……資金を稼ぎ、株主になったとかで船舶の利権も有し、王弟殿下と交流も持ち。


詳しく聞くのが怖い!

ロバート様、めっちゃ怖い!

さすがわたしの初恋の人……なんて。

……惚れる程度には素敵な男性ですが。ロバート様から惚れられたら……重い。デライザお嬢様、よくこんな激重なロバート様の愛の重さに耐えているなあ……。


結論。お嬢様は偉大。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ