表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰り逝く日々  作者: 和之
99/139

朔郎は有美子に会う5

「それは知らなかった。山から帰っても佐恵子はいつも通りに愛嬌を振りまいていたが……」

 これは私しか解らないと思うけど、いえ、私にしか見せないと言った方がいいのかしら。思い詰めると精神に変調を来たすように急に泣き喚き、そのあとは何事もなかったかのように笑って誤魔化すの。どう云えばいいのかしら、ちょっとあの子は思春期がズレているのかしら?

「とにかくあの時の佐恵子は異常だったのよ。翌日には『あたしそんなこと言ったかしら』って顔して、何も無かったようにケロリとして、聞き出すのさえ馬鹿馬鹿しくなって。何でこんなんに付き合わされたのかと笑って仕舞った。とにかくそれから佐恵子はあなたを軽蔑していたわ」

 思い過しだと思ったが、確かに少し変わった気がした。だが朔郎にはいつもの愛嬌を振りまく彼女からは、思い至る事は何も無かった。

「妙だなあ? なぜなんだろう?」

「自分の胸に聞けばいいでしょう」

「どう云う事だ! 二人ともちゃんと帰って来た。俺はあの時に正幸とちゃんと話しを付けたと云うのに」

「本当に山では何も起こらなかったの?」

 有美子は不思議そうに朔郎を見た。

「だからそれを確かめようとさっきは別れた理由を訊いたのよ。あたしの推測は当たらなかったのね」

「推測? 何だそれは?」

「本当に何もなかったのね」

 念を押すように有美子は見詰めた。

「う~ん」と言葉を濁した。それで何かを朔郎は隠してると有美子は察して追求した。朔郎は長い沈黙の後に「もう時効だなあ」と言って喋り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ