朔郎は有美子に会う2
「本当に訊きたいのは佐恵子の事でしょう。ハッキリ言えばいいのに。それで電話で呼び出したのでしょう」
「そうだけど……」
彼は言葉を詰まらせながらもその顔は期待に膨らんでいる。
「かおりちゃんの事で佐恵子は福井まで迎えに行ったんでしょう。で、かおりちゃんに会ったの?」
ホウ〜、もうそこまで情報が伝わっているか。それじゃ何処まで佐恵子のことが聞けるか判らないが電話したのは正解だった。
「寝顔だった」
「ホットしたんじゃないの」
朔郎は暫く黙った。
「良く解らない、それよりなぜ彼女は突然十四年振りに会いに来たの?」
「別に、あなたに会うのに理由がいるの」
難しい質問だが、あの時に仲介をした彼女の即答に、この重みをどう捉えているのか頭を傾げたくなった。
「そうじゃない、正幸のことだ」
「それは私にも分かる訳がないでしょう」
彼女は正幸を快く思ってない。だから本当に何も聞いてないんだろう。
「佐恵子と良く会ってるんだろう、その辺から判るだろう」
「会ってはいるけれど、それは十四年間会ってないあなたと変わらないのよ」
コーヒーカップを両手で持ちながら、片方の親指でしきりにカップの淵をなぞりながら有美子は言う。仲が良いのか悪いのか、何処までが芝居でどこからが真剣なのか解らない。十四年前の最初の揉め事で見せたあの真剣な有美子の顔を知る朔郎でも今は真意は掴めない。それでも朔郎は促すように彼女を注視した。
「変わった事と言えば……。そうね流産したことかしら」
「それは再会した日に聞かされた」
有美子はホオーと云う顔で見返してきた。




