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陰り逝く日々  作者: 和之
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朔郎と正幸の再会3

「言葉の端々に丸みがなくなったんだ」

 この正幸の言葉に当時の佐恵子の姿が鮮やかに蘇った。

「そう云うことか、それと俺とどう繋がっているんだ」

 正幸はまた紫煙を曇らせた。

「お前は北山のブティックへ行ったそうだなあ、そしてあいつはここへ来たんだろう。あいつの妹がここの案内状を持っていたんだ。それでひとつ訊きたい。お前は俺の家を知らないだろう」

 正幸は返事を待たずに続けた。

「佐恵子から訊いたが今もあの大阪のアパートに住んで居るのか」

「ああそうだ」

「お前は連絡先を知らない、と云う事は最初は佐恵子から連絡したんだなあ」  

 黙っている北村に正幸は何処まで言わすんだと煙草をもみ消した。

「とにかく最近の佐恵子の様子が変わった原因が解ったよ。だがお前を責める資格は俺には見つからない。同じ様に佐恵子も責められないんだ。お前と行った最後の登山が頭から離れないからと思って、かおりは立派に育てたつもりだ。まあ過ぎた年月だけはどうしょうもつくろえないから、とにかく”あれは”しょうがなかったんだ」

 それでも朔郎は顔色ひとつ変えず、いや無表情な目で虚ろに聴いていた。

「此処へ来ても何も変わらないのは解っていたが……」

 少しの沈黙の後にいたたまれないのか「やはり来たのは間違いだった。話す相手を間違えた」と正幸は席を立つと入れ違いに狭山と堀川が遅くなった詫びを言いながら入って来た。

 正幸は早足に二人を振り払う様に外へ飛び出して行った。

「なんだあいつはお客さんか?」  

 閉店間際に飛び込んで来たお客が慌てて出て行ったと思ったらしい。

「おまけに煙草まで吸って行ったんか」 

 灰皿をかたづける堀川を見てから狭山が言った。

「知り合いか?」

  まあな、と受け流すとあいつが正幸だと言った。


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