個展の終了と打ち上げ1
北村の余りにもあっさりした言い方に呆気に取られながらも、二人は今一度驚いて振り返った。正幸はすでに人混みに消えていた。
「あいつ何しに来たんだ!」
「俺の作品を見に来た」
馬鹿も休み休み言え。まともに答えろと朔郎を睨み付けた。
「肝心な事を聞く時にお前らがやって来たんだ」
「それはないやろう、閉店の手伝いに寄越しながら」
「だから想定外だったんだ。どうも佐恵子の持ってた案内状を見て来たらしい」
「佐恵子さんが見せたのか」
「いや厳密には妹さんらしい」
「そうか……。堀川も北山の店へ行ったそうだ」
本当かと云う顔を堀川に向けた。堀川は頷いた。
「かおりさんって云う子も見たわよ」
この時、表のガラス越しに中を覗く人影に、狭山が閉店を告げると北村が呼んだ宅配業者だった。
三人は話を中断して店内を整理して作品を段ボール箱に詰めて宅配便に渡した。中仕切りのパーティションと簡易テーブルとパイプ椅子をたたむと何も無い貸しホールになった。
「なんか寂しくなったね」
と堀川が呟いた。が、北村と狭山は感傷にふける事なく店を閉めた。三人は個展の反響を気にしながらも、徒歩で木屋町の居酒屋へ入った。
狭山が座敷席で出されたお絞りを拭き、早速狭山が堀川にかおりちゃんの様子を聞いていた。
「狭山さん、あの子知ってるんですか?」
堀川は怪訝そうに尋ねた。
「まだ数ヶ月になるかならんかやから、多分向こうは知らんやろう」
「知るわけないだろう」
と朔郎も手を拭きながら笑った。お前もそうだったなあと狭山も笑った。
二人に説明を求めた堀川が、それが北村の子供の話だと知って、笑い事じゃないでしょうと憤慨した。




