表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰り逝く日々  作者: 和之
69/86

綾子と裕子は佐恵子に会う2

「ええ篠原は今は夫ですけれど、学生時代は一緒に行く相手はうちの人しかいませんでしたから」

 綾子と裕子もコーヒーを飲みながら聴いていた。

「その篠原さんですけれど入社して最初の夏休みにこれで北村さんとは最後になると言って記念登山に二人で山へ行ったそうですね」

 佐恵子の眉間が少し寄った。

「それがどうかしましたか?」

 佐恵子の柔らかい物言いに綾子がじれて仕舞った。

「どうかしたかじゃないでしょう。あんな純情なひとをコケにしておいて !」

  余計なお節介だと佐恵子の目が鋭くなった。

 裕子が不安そうに成り行きを見詰める。

「言ってる事が良く解らないわ」

 居直られてしまった。もう前置は要らなくなった。

「あの登山で北村さんは縦走する山の稜線から突き落とされそうになったのよ」

「嘘よ! 落とされそうになったのは正幸の方なのよ」

 彼女の眼差しが屹度して堀川を見据えた。だが堀川も負けじと見返した。

「それを誰から聴きました」

 堀川は努めて冷静に言った。

「正幸からだわ」

「北村さんからは?」

「……」

 何を言ってるのと云う顔をして、佐恵子は一度視線を落とし、次に上げた時には氷のような視線を浴びせて来た。正幸を信じたこの鋭い視線が、北村を遠ざけた。あれは当時の佐恵子の欠落した感情が言わせた不当な扱いだと悲観したとおり、堀川に当時を回想させた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ