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陰り逝く日々  作者: 和之
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綾子と裕子は佐恵子に会う1

 二人が入り洋服を物色すると接客中の佐恵子は堀川に一瞬無表情の眼差しを浴びせた。それから直ぐにさも親しい客の様な会釈をした。そして他の客との商談を終えると二人の前へ来た。かおりと云う女の子は接客中もレジの奥に座っていた。

「よくここが分かりましたね、狭山さんにお聞きになったのですか」

 と云う事は狭山さんはこの女の店を知っていたのかしら? 狭山さんは言葉は選ぶが隠し事はしない。この場所は北村からも聴いていないから適当なんだ。じゃあこちらもと綾子は苦労して探したとは言えず、裕子を紹介しながら適当に返事を合わせた。

「ええ、まあ、それよりひとつ話があるんですけど」

 綾子は周りに客がいないのを確かめた。後はあの高校生だけだった。

 綾子の慎重な気配を察した佐恵子は「少しの間なら娘に留守番させますか」と近くの喫茶店へ誘った。僅かな間に多くを悟るこの人は、器量と共に身も軽やかにそして動作も美しい。先ほどのお客もそこそこの値段なのに満足そうに買って帰らしたように。

 女はかおりに頼むわよと言って店を出て先導した。訪れた喫茶店でも彼女は店のマスターとは和気あいあいと言葉を交わして三人はテーブル席に着いた。

「お話って北村さんのことかしら」

 さも他人ひと事の様に佐恵子は言った。

 綾子は向こうの方から単刀直入に切り込まれてしまった。裕子も手強そうに相手を見据えた。

「そう言ってもらえれば話が早くて済みそう」

 とは言っても簡単な話ではない。

「この前の写真展ですけど、北村さんは昔は良く山登りをしてたんですね」

 なーんだその話かと佐恵子は頼んだコーヒーに一口付けた。

「ほとんど単独登山ですけれど……」

「写真からそんな雰囲気ですけど、たまに篠原さんとか云う人と行かれたそうですね」

 やはりそこへ来るかと佐恵子は身構えた。


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