綾子と裕子は京都へ6
店名は判らず、場所も大雑把だった。二人はそんな雰囲気の店が軒を連ねる辺りへ踏み込んだ。が結構そう云うイメージの店ばかりが目立つ通りだった。
「これじゃあ絞りきれないわね」
「北村さんは店の名前は狭山さんにも教えなかったのかしら?」
「本当かしら? 狭山さんってまだ隠していることがあるんじゃないの」
「狭山さんに関してはそれは間違いない、北村さんよりまともな人だから」
「それは云えてる。確かに北村さん、あの人まともじゃないわね」
二人は小綺麗な店を見つけては店内を物色してまた次の店へ移動して行った。
途中の横道から二人連れ高校生の女の子が二人の前に出て来てそのまま前を歩いて行った。もう一人の女の子がかおりと呼んでいた。確か狭山さんからかおりと云う高校生ぐらいの女の子が居ると聴いていた。
「あの子ひょっとして佐恵子の子供かも知れない」
二人は女の子の後を付いていくと一軒のブティックで友達と別れて店に入った。
「かおり店に来ちゃダメよ」
奥から声が聞こえた。二人はそっと店の中を見た。あの展示会場で見た女がそこに居た。
「あの人だ」
佐恵子は中年女性の顧客とおぼしき人とソツなく渡り合っていた。
彼女は仕事がらとは云え、その人当たりの良い言葉と表情には圧倒された。
「どうする」
裕子の問いに綾子は躊躇した。
ただ商品の前に立っただけなのに色々と好みを聴いて来る店員には辟易させられた。がこの人なら黙っていても気に入った物を見つけてくれそうな、そんな雰囲気を醸し出していた。
「どう思う」
「綾子とは正反対の人みたい」
「どうせあたしは不釣り合いよ」
と一瞬眉を寄せて裕子を見て、一寸だけ綾子を害した事で、急に決断した。
「入りましょう。真実も正義もひとつよ、ここまで来て引き下がれない」
裕子の一言が綾子のクソ度胸を誘発させた。
「真実はひとつだけど、正義はそれぞれの胸の中に鎮座していると想うけど……」
急に決断した彼女を見て、今度は裕子がためらった。
「裕子の言葉はまどろっこしー」
それぞれの正義を認めていたら大道に付けない。それでは前へ進めない。




