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陰り逝く日々  作者: 和之
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綾子と裕子は京都へ4

 あの女に新たな作品作りに一役買って貰うのよ。それぐらいしても罰が当たらない事を北村にしていると綾子は確信する。それであの人が復活出来たら、これでその佐恵子の鼻を明かせるし、それを考えると凄く有頂天になってくる。その気分を裕子にも分けてやりたいぐらい胸がワクワクしてきた。

 だいたいこの前のギャラリーの受付で見たあの女の澄ました顔にひと泡吹かせたら、これほど愉しい事はなかった。裕子も他人事じゃ無いみたいに身を乗り出して笑ってくれた。

 柔道には技を持ってその技を制するだが、堀川の場合は礼を欠いてただ手段を選ばず突き進むだけだった。ただし究極の愛に礼は介在しないどころか、当事者以外の全てを排除する。その為には関わる人々の気持ちをも利用するならばこれも正論に成り得た。ここで神の説く【愛は寛容なり】は恋愛中の当事者達には通じない。本当に愛するならば、あの人にはあたしが必要なのだという信念こそが真の愛だ。誤魔化しの愛は通じないと、今こそあの女は知るべきだ。

「でも今更会っても進展するかしら」

「別れて十四年経って急に訪ねて来る。これは余程の心境の変化があったからでしょう」

「どんな変化なの?」

「だからそれをこれから確かめるのよ」

そうねと裕子は面白がって、そこにスキャンダルはないかと興味を持った。

 二人は途中から佐恵子が居るらしい北山辺りのブティック探索に変更した。

 飛ぶように過ぎる景色に想いを寄せて電車は終点の出町柳に着いた。そこから二人はタクシーで北山通りに向かい手前の賀茂川辺りで降りて散策を始めた。

無茶苦茶なように見えても理路整然と説く、傍目にも一本筋が通った筋金入りの女だと聴かされている相手に対して、ただ闇雲に問うても言い負かされる。

 二人は賀茂川の土手を歩き、佐恵子を見つけたらどう問い詰めるか考えて小綺麗な店が点在する北山道りに入った。


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