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陰り逝く日々  作者: 和之
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綾子と裕子は京都へ2

「車が増えて外で遊べなくなった頃に家で遊べるゲームが出来た。そんな子がどうやって交際相手を見つけるんだろう」

「別に子供だけじゃないよ、昔から恋は尋常じゃないって、だから人任せな所があるって言うじゃない」

 源氏物語で庶民を描いた道端でのしじみ売りの一コマと同じ風景が明治の初めまであった。千年も変わらないものがわずか百年で異世界に変わっても人を恋する心はそのままだ。

「だから裕子は受付でそう云う仕事もしているのか」

確かに裕子の会社は女子社員が多いから受付の裕子は、男女の裏事情の込み入った辻褄合わせに一役借り出されていた。

「重要な得意先でなければ『内は婚活の会社じゃありませんし女子の斡旋なんて以ての外です』と取り合わないようにしてるけど、気に入った子が居れば自分でアタックすればいいのに、どうしてこう閉じこもりの草食男子が増えて来るの。北村さんも似たようなものよね」

「でもあの人はアウトドア派なのよ」

「ただの自然観賞派じゃないの」

 綾子は写真展で気に入ったサービス版の山の写真を見せた。

「これ全部単独走破しているのよ」

 裕子は夜空に下弦の月に浮かび上がった穂高の写真を手に取った。

「凄いわね、ただの鑑賞の域を超えてる。冴え渡る下弦の月ね。夜によく独りでこんな場所に居られるのね」

「今はそう云う写真は撮ってないみたい。それは昔の写真なのよ。あの頃は強い精神的な支えがあったみたいなの」

「それがこの前言った佐恵子さんか、展示会にも来たのね」

 裕子はじっくりと写真を見つめ直して「その人が居ないから、もう、こういう写真は撮れないのね」

 撮れないのか撮りたく無いのか判らないが、余り冒険をしなくなったことは確かだった。


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