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陰り逝く日々  作者: 和之
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綾子と裕子は京都へ1

 綾子は北村が写真の展示会で忙しく、たまに留守番に頼まれるぐらいで暫く一緒に出歩いてない。大学時代の友人の裕子が、個展が終わるまでどうせ暇なら今度の休みに京都へ遊びに行かないか誘って来た。

 某会社の受付嬢である裕子は、耳元で飛び交う他人の噂話ばかりで辟易して、綾子も暇を持て余して二人は気晴らしに丁度良かった。早速話が進み淀屋橋で待ち合わせて、具体的な場所も決めずに特急電車に乗った。あてずっぽな京都行きだった。

 電車に乗ると裕子は、写真展の反響が気になる綾子に話題を合わせて来た。北村との進行状態も訊くが、取りあえず遠回しに身近な事で話を詰めた。

 写真展の来店者は年配が多く若者が少ない。やはり幅広く関心を寄せる作品でもなかったらしい。昔の様に旅の風景に憧れる若者が減ったようだ。最近は部屋に閉じ籠もりテレビゲームに夢中になる若者が多いのが北村には堪らなく淋しくなるようだ。あとはアニメに出て来る風景をなぞって巡礼するらしい。彼が追い求めた中央アルプスの山岳地帯などは全く蚊帳と外になった。

要するに非現実の世界に没頭して、いや埋没して個性までも消滅させてしまう風潮を嘆いている。

「いつからだろうね。子供がテレビゲームばかりして外で遊ばなくなったのは」

 軽快に走る特急電車の窓を眺めながら綾子が呟いた。

「この特急電車の停車駅が増えた頃じゃないの」

 確かに昔は大阪の京橋を出ると京都の七条まで止まらなかった。が今では急行の停車駅数と変わらず、代わりにその急行がなくなっていた。やたら沿線に人が多く住みだし田んぼが宅地されて、子供の遊び場所が無くなった頃に、急激に電子機器が発達した。

「ばあちゃんが言ってた。車が通らない路地裏から良く子供達がわらべ唄を歌って遊んでいたって」

「今時車が通らない道って住宅街にはないもんね」

 新規の宅地には緊急車両用の道路の設置が義務付けされた。


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