友美と祐次3
待つ身の正幸には長い時間に感じられたが、友美は直ぐに捜し出していた。正幸は案内状を実に入念に穴が空くほど見ていた。
友美がしびれを切らした。
「お義兄さん、その人はどういう人なんですか?」
正幸は友美の声には耳を貸さず。
「貰ってもいいか」と言うなり返事も待たずに胸の内ポケットに仕舞った。そして愛想笑いを浮かべた。
「二人のデートの邪魔をして悪かった。俺はこれで失敬するよ」
正幸は煙草をもみ消し、眼を細めて鞄とレシートを持って立ち上がった。
「払っとくからゆっくりすればいい。ついでにデザート付きのコーヒー二つ追加して頼んでおくよ」
正幸はレジに向かおうとした。
「お義兄さん、待って。話が途中よ」
「俺は済んだ」
振り返った正幸は穏やかにそう言った。
「わたしは終わってないわ」
正幸はもうレジに向かっていた。
友美はなおも正幸の背中に「待ってよ」と声を掛けた。
「トモちゃんいいじゃないかコーヒーをもう一杯飲めば」
「裕次くん、あなたって人は何を考えてるの」
予想外の顰めっ面に祐次は泡食った。
「べ、べつに」
「もう、コーヒーどころじゃないのよ !」
立ち上がろうとする友美の腕を松田は掴んで席に着かせた。
「今日は無理だ。課長とはいつも一緒に居るから俺が聞き出してあげるから」
友美は松田を睨み付けた。
「そんな顔しなくたって。で、どんなこと訊けばいいんだ」
「北村さんって云う人。それと姉さんとどんな関係だったか」
「北村さんの事は訊けても、関係までは無理じゃないかなあ」
「もう、役立たず ! 努力するのよ !」
その後に流し目を送って「頼りにしてるわよ」と言った。
最後のひと言が裕次には堪えた。




