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陰り逝く日々  作者: 和之
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友美と祐次2

「ところで友美ちゃん、君を待ってたんだよ」

 正幸は待ちかねたように切りだした。

「佐恵子の事だけどねぇ」

「お姉さんがどうかしたんですか?」

 友美の驚きに大した事じゃないと云う顔をした。

「ただこの頃元気がなくてねぇ」

「さっき会ったのだけど、何処も悪くないわよ、どうかしたの」

「さっき会った! 休みの日はいつも家に居るんだが。出掛けるなんて俺にひと言も云わなかった。いつも俺に声を掛けているのに……」

 正幸は暫く天を仰いだ。友美は正幸の視線が落ち着くのを待った。義兄と北村の関係が気になる。なればなるほど尋ねたくなるのが友美の性分だった。たとえ姉から口止めされていても。

「所で義兄さんは北村さんを知っているんでしょう」

 彷徨さまよっていた正幸の視線が一点に絞られ鈍い光を放った。なぜ知っているんだと言わんばかりに友美の眸に注がれた。

「随分と昔の大学時代の友人だった。だがそんな昔の事を誰から知ったんだ」

「お姉さんよ」

 予想的中に彼は眉をしかめた。

「佐恵子が? いつ?」

「偶然なのかしら、さっきその北村さんの作品展を見に行ったその帰りに本人に会ったの……」

 話ながらも義兄の急な顔色の変化に友美は戸惑った。そして「厳密に言うなら受付の狭山さんって云う人に誘われて会ったの」と直ぐに友美は訂正した。

「俺に何も言わずに今日出掛けたのは、それか……。でどんな展示会だ。いやそこにその男は居たのか、佐恵子はどうだったんだ、会ったのか? 何を喋ったのだ」

「さっき言った事ちゃんと聞いてるの ? 」

 正幸の矢継ぎ早の質問に、友美は尋常じゃあ無いと困惑した。

「ちょっと待って! 待ってよ義兄さん。それじゃ何から話して良いのか解らないじゃないの」

「悪かった、すまん。何の展示会、いや作品展なんだね」

今まで何度か会ったがこんなに動揺した義兄を友美は初め見た。

「興味が有ったから案内状を貰って来たの、それを見た方が分かりやすいわね」

 彼女はハンドバッグの中を調べた。松田はただ、どうなってんのと交互に二人を見続けるだけだった。


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