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陰り逝く日々  作者: 和之
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個展の開催6

「それが例の旅行だったの。語学留学って言ったけど実際は姉ちゃんは恋の逃避行だったのか、それって赤ちゃんは」

「一緒に連れて行ったの。だから向こうでも大変だった」

 人一倍に洞察力がけた姉には信じられない行動だった。それだけ気持ちが病んでいたのね。

「正幸さんは平気だったの」

「なぜか何にも言わない。やはりかおりが気になったのか、一緒になる気が無いと思っていたらプロポーズされて帰国してすぐ結婚したの」

「嘘だ、そんな気紛れ、そんな成り行きで姉ちゃんが結婚するはずがない。北村さんと言う人から逃避したかっただけじゃないの。姉ちゃんは、あたしが小学校の頃、男の人を連れて来たでしょう。その人が正幸さんだと判ったけど。そのとき実際は北村さんと一緒に暮らしてたんでしょう。半月後にさっきの話だと正幸さんを追って外国まで行った。無茶苦茶な話じゃないのに、にわかに信じろってそれでも姉ちゃんは言うの」

 正幸が社会人として新しい人生を歩みだした。朔郎は大学を中退して正社員になった。これで二人は高校からの学生気質の自由な生活に終止符を打った。これから別々の道を進む。その仕上げに二人は最後の登山をした。そこで信じられない事を正幸から聞かされ、もう頭の中が支離滅裂になり神経が濁流に呑み込まれて行った。

「二人が登山から帰って、どっちを信じて良いか解らなくなったのよ」

「じゃどうして正幸さんを信じたの、実家に一緒に来てくれたから」

「あれは誘ったんじゃないのよ」

「でもお父さんは乗る気だったよ、これで佐恵子も片付くなあって言ってた」

 朔郎は写真で一旗揚げると言う正幸の取りなし。あれは朔郎の弁明に聞こえて、既に内定を取り付けた正幸に父はすっかり傾倒した。これでは進路を絶たれたのに等しいかった。それなのにあの人は相変わらず狭い視野で生きていた。最初はそれがあたしの望みでもいつか打破してほしかた。

「待てないなんて。北村さんは理想の人じゃなかったの」

「現実は理想通りにはいかない。まあそれより友美、あんたにはまだ無理ね。それより裕次君を大事にしなさい。気を揉ませちゃあダメよ待ってるんでしょう裕次君、早く行ったげなさい」

    


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