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陰り逝く日々  作者: 和之
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再会5

「いい呑みっぷりだと、勘違いするな。しかも俺より可愛い子になびきやがって」

 気分を悪くすると、待っていたように司会を買って出た二宮が「まあまあ」と肩を軽く叩きながらビールを勧めにやって来た。

 彼は英断ですねと言って、その歳での再就職を心配してくれた。次に上司が来て、今度の転勤拒否は遺憾だと小言を並べた。勝手に決めて、遺憾なのはこっちだと上司の後ろ姿に呟いた。

 朔郎は適当なところでトイレ中座して、戻って来て空いていた狭山の隣に座った。

「狭山、長い付き合いだったなあ」

「何言ってんだ北村、此の会社でお前の元奥さんを知っているのは俺だけだぞ。それほどの仲だ。会社を辞めてもお前との付き合いが終わる訳じゃないんだぞ」

 嬉しい事を言ってくれると朔郎はまたビールを一気飲みした。朔郎は酔いが回り出したが狭山はまだ酔っていなかった。

「結婚当初は家族ぐるみの付き合いでよくお互いのアパートを行き来した付き合いじゃないか。多恵も今度の事では心配しているぞ」

「そう言えば奥さんの多恵さんとは佐恵子と別れてからあんまり会ってないなあ」  

 朔郎は周囲に勧められるままコップを何度も飲み干している。彼の舌はかなり回りにくくなっていた。

「おい今日は呑みすぎだ。お前らしくない。そんなに呑むのはあの時以来だなあ」

「あの時はサエコさんに看病してもらってお世話になったなあ」

「オイ、俺の女房の名前を間違えるな」

「何か言ったか」

 ーーもうこいつは完全に酔っている。

 狭山は呆れて「佐恵子さんにでも会ったのか」と手ラッパで冗談ぽく朔郎の耳元で囁いた。

「何言ってんだ! そんなことあるわけないだろう」

 とうとう彼は酔い潰れて訳の分からないことで怒鳴り始めた。

 狭山は話にならんと席を移動した。

 彼の耳には宴会のざわめきが耳鳴りのように聞こえて頭も痛み出して横になった。

 宴会の終わりかけに朔郎は起こされて「北村さんお水よ」と言う綾子の声で彼は半身を起こした。

 酔いながらもイヤな者はイヤだと言える君が羨ましいと羨望の眼差しで言うものもいた。その歳で行くとこないぞと心配してくれる奴もいた。だが誰の言葉も心地良い酔いの中に消えていった。

 お開きの後は見かねた綾子が看病しながら彼のアパートまで送ってくれた。 


        

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