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陰り逝く日々  作者: 和之
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個展の開催1

 佐恵子は伏見から電車で来る妹のために三条大橋の駅前で待ち合わせた。今日の展示会には有美子でなく事情を何も知らない妹の友美を誘った。友美は大学受験に来てから卒業後もこの街に住み着いている。この姉妹はお互いの生活圏には干渉しないが決して仲は悪くはない。ただ今回のように必要に応じて利用する事は多少はあった。

 佐恵子は三条大橋から遠く北山に目を移した。

 そう云えばあの人はこうして良く遠くの山を眺めたのを想い出した。

 秋とは思えぬ強い陽射しがあの日と同じ様に暑く頭上から降り注いだ。心の内側からは熱いものが燃え上がる。頭の中は過去と現在で掻き回されて未来が見えて来ない。見えて来たのは近付く妹の姿だった。

「お姉ちゃん待った?」

 昨夜の電話では「頭が痛いから行きたくない」と言っていたのが嘘の様にケロっとしていた。でも来てくれて安堵した。

「具合が悪かったのじゃないの」

「あの後に裕次君から電話が掛かって来たの、で今日は夕方に会う約束をしたの」

 彼の為なら花も嵐も踏み越えるか、佐恵子は頭に来たのを通り越して呆れた。

「本当に悪かったの」

「本当よ、でもお姉ちゃんがあれだけ真剣に頼むからなんとかしょうと思っていたのよ。今日来られたのは裕次君のおかげよ」

 ちょっとずれている妹に、ああそうなのと佐恵子は生返事をした。   

 友美とは一回り以上も離れた末っ子だがあたしが熟考しても、意外と有美子より的確な助言を言ってくれる時がある。と言うよりこの子は物怖じせずズバズバと言うところがある。悪く言うと若さから来る世間知らずなところもあった。


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