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陰り逝く日々  作者: 和之
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佐恵子と有美子5

「 佐恵子、印象が違ったんじゃない」

「そうかしら、あの頃のままに接したんだけど……」

「じゃあ北村さんが昔の意固地のままなんだ。逢いたいけど会えなかったあの日を根に持っていたんだ」

「そうかしら」

「それより個展は行かない方がいいと思うんだけど」

「どうして」

 ウン? ここで有美子の思考回路が止まった。

「どうしてって、正幸さんはどうなるの」

「友達同士だからいいんじゃないの。あの頃はそうだったでしょう。どっちも大人なんだから」

 有美子の思考回路がオーバーヒートしかけた。

「佐恵子の馬鹿! 何考えてんの正幸さんと一緒に成ったことは言ったの?」

「言った」

 その辺の感覚が世間からズレていると有美子は意見した。

「今日は急にあたしを誘ったのはその辺に訳が有りそうね」

 当たりだが個展の開催はここで知って、それも含めて相談に乗って欲しいと佐恵子は頼んだ。

「あたしにどうしろって言うの」

「あの人の個展だけど有美子が見つけて誘った事にして一緒に来て欲しいのだけど……」

「正幸さんに言い訳出来るわねと云うか、話題にして再考を促す手もあるか」

「再考って?」

 考え直すと言った方が判りやすいかと有美子は嫌みタラタラに言い直した。元々有美子は正幸を快く思っていない。どちらかと云うと北村びいきである。二人を比較すれば世間はダントツで九分九厘まで正幸を挙げるだろう。何も知らなければ有美子もそうした一人だった。しかし北村はこちらが誠意を持てば、百人が捨てても彼だけは必ず応えてくれる人だ。気に入ら無ければ敵前逃亡も辞さないが、心情を知れば殿しんがりを引き受けてくれる人で、そこが正幸とは対照的だった。


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