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陰り逝く日々  作者: 和之
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佐恵子と有美子4

 有美子は佐恵子の影響を受けたのか、あの後に同じ大学の学生と結婚した。だから二人とも卒業して早い時期に子供も出来た。が直ぐに別れた佐恵子とはその先が大きく違った。正幸が気に入らない有美子はその反動で結婚したふしがあった。そもそも初対面の有美子を前にして、彼氏の居る佐恵子にちょっかいを出す正幸が気に入らず、その印象を今も引きずっていた。

「新しい写真なの」

 まずは珈琲を口にしてひと息付くと、今日飾り出した写真に有美子が眼を留めた。

「朔郎の昔の作品よ」

 奥のマスターを制して佐恵子が言った。

「すると十なん年前の作品って言うことね。誰が持って来たの?」

 マスターに聞くと知人の画廊のオーナーを紹介した。

「近々あの人、個展を開くつもりらしいの。その宣伝を兼ねて画廊のオーナーがマスターに店に飾って欲しいと頼まれたようね」

「その画廊は近いの?」

「三条京阪辺りらしいの」

 佐恵子の問いにマスターは画廊の場所を教えた。日取りが決まればここにも案内状を置きますからと来店を促した。

「佐恵子、行くつもりなの。向こうは驚くわよね」

「そうでもないかも知れない」

 有美子は怪訝な顔をした。

「実は最近会ったの、いえ、会いに行ったの。まだあの家に住んで居たから連絡が付いて、梅田で会ったの……」

 有美子は今度は怪奇現象と言わんばかりに驚いた。

「それからどうしたの」

「名刺を渡したら一週間後にあたしの記念品を返しに来たの、それを口実にやっと私の居場所が判って……」

「それからどうしたの」

 有美子の矢継ぎ早の質問に佐恵子は間を空けた。

「それっきり数ヶ月来ないの ?」

「全然」

 有美子は憮然として彼女を見た。

「うん、 ぜんぜん」

 と佐恵子も見返した。


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