決められぬ就活6
御堂筋から一歩足を踏み入れると目的のある人と車は通らないから急に静かになった。
彼は歩きながら考えている。何を考えて良いか分からないがとにかく考えてみる。それが唯一自分が存在する証しだった。
行き詰まった。先がない、だが明日は来る。その明日を待つのがつらい日もある。それが今日なのか分からないが。そんな朔郎を綾子が解るはずもない。
「いつもあなたはそうなのね。呼び出しておいて口も利かずにサッサと自分ひとりで歩いて行くなんて……」
「目的がない。ただそれだけなのだ」
「じゃあなぜ電話したの」
「ひとりがつらい。ただ寂しいだけさ」
「それで電話したの、すぐ来ると思って、ただそれだけで呼ぶなんて。やはりいつものあなたと変わらないのね」
朔郎は眉を寄せた。
「変わりたくとも変われない」
古い過去を常に引き摺って歩いているせいか、それとも、その為だけで変われないのか。
「なぜ、なぜなの。あなたの言っている事は間違ってる」
「そうかなあ」
朔郎は先ほどの言葉の裏にある、どうしょうもなく心の底から地を這うように湧き上がる不安が気になった。それをなすすべもなく崩れようとする病的な恐怖を理解しょうとしない綾子に苛立ちを覚えた。佐恵子なら……。
佐恵子にはつまらぬ意地を張ったもんだ。いや向こうが頑固すぎたのだ。突き放しても戻って来ると思ったのに帰らなかった。あの時に何が彼女をそうさせたのか京都へ行けば解るだろうか。
今更、聴いても過ぎた日々がそのままの姿で戻る訳がない。それでも朔郎を振り返らす彼女の魔力には勝てないのか、戻した想いが居座った。目の前の綾子は遠い人でも見るように彼を見ていた。




