決まらぬ就活3
「そうじゃないのよ。確かに裕子が言うように掴み所のない人だけど。そんな相手を理詰めで考えても割り切れない。でも恋は理屈でもないから。だから辛くて苦しい。でも何か切っ掛けがあれば決断出来そう」
あの人が自分の好みであるのなら、そして先の事は誰にも分からない以上は、縁は繋げる価値があると裕子は言った。
「そんな安易なものじゃないでしよう」
「そやろうか? 決めてしまえば楽なものよ」
冷静に分析し付き合えるのなら結婚しても良いと裕子は結論づけた。
結婚する裕子を見ると北村との恋を整理したくなった。どう整理するかはあの人しだいなのが癪だ。
裕子と別れた後で江坂へ向かう電車の中で、綾子はどう整理すれば良いか考え出した。が結論が出ないまま、夕暮れに霞む町並みを背に受けながら帰った。
部屋に帰り着くと電話のベルがけたたましく鳴っていた。
「はい、堀川ですけど」
「もしもし、ボク」
「北村さん?」
「そう」
「どうしているの?」
「逢いたい」
「……」
何なの急に。でも急だけになんか変わったのかしら。
「今から淀屋橋まで出て来られないだろうか」
「こんな時間に」
「まだ八時だよ」
「今すぐに出ても三十分はかかるわ」
「じゃ八時半に橋の袂で待ってる」
「もう、夜に急に用も無いのに呼び出すのはやめて」
「分かった。もう急に呼び出さないから。だから待ってる」
「分かったわ」
彼女が言い終えると余韻を残さず電話は切れた。電子音だけが短絡に鳴り続けていた。静かに人差し指で回線を切った。




