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陰り逝く日々  作者: 和之
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決まらぬ就活2

 若い娘が受け付けの時は用もないのに男どもがうろつき、あたしの時は静寂過ぎて裕子には面白くなかった。裕子にその若い娘とのデートの仲立ちを頼む、油のギラついた中年の男まで時には現れる。

「あの連中の奥さんも、子供も居るのになに考えてんのだろう」

 裕子は普段の鬱憤うっぷんを一通り綾子に聴いてもらってから話題を変えた。今度は結婚すると言い出した。綾子には前の続きの様に聞き流した。

「そう結婚するの……。いいわね」

 そう云うと綾子は幸せそうな裕子から目をそらして淀川に目を移した。

 淀川にはビルの谷間から射し込む夕陽を浴びて渋い褐色の朱に染まり、川面のさざ波が川一面に魚の鱗の様に輝かせていた。

 裕子は思い口調の綾子を眺めた。

「綾子、北村さんとはどうなの」

 裕子は今の会社に入ってから北村を気に掛けている綾子を見ていた。だが綾子にとって北村にはときめきが有った訳でもなく、まして熱烈な恋を抱いたものでもなく、また冷たい関係でもなかった。要はこの歳になると相手を冷静に見られた。だが二ヶ月前の送別会から二人の間は大きく変化していた。

「どうって?」

「さっき、あたしが結婚するって言ったら綾子はひとごとみたいに聴いていたわね」

 他人事ひとごと、そう云えば北村とは母性本能だけで、綾子にはなぜここまであの人に振り回されるのか解らない。

「まあ、綾子も無理もないか、あの人は掴みどころのない人だから」

「結婚か……」

 綾子はため息混じりに言った。

「やはり考えてないのね。私がさっき結婚するって言った時の綾子の言葉、あまり実感がこもってなかったもんね」

「そうじゃないの」

 否定はしたが、男女の恋の目的が結婚にあるなら、北村との恋は無駄な恋なのか。じゃあ無駄な恋って何なのだろう。

 綾子にはアバタもえくぼに見えた時代はとっくに過ぎていた。それどころか悪い所も直視し、良い所も気に入らなくなっている。要は人の目を気にしなくなった。それでも手間の掛からない恋なら良いかって思うほど男女の仲も簡単ではなかった。


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