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陰り逝く日々  作者: 和之
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決まらぬ就活1

 狭山さやまと別れた朔郎さくろうは淀屋橋から川面を眺めていた。川の右側は道路と家が建て込み、人と車の往来が激しかった。

 川面から左の岸に目を移せば中之島の公園が見える。そこで何人かのホームレスが目に映った。彼らを見ていると朔郎は不安を覚えた。

「誇りだけは捨てたくない」

 この言葉が脳裏をよぎった。彼は意識的に川の左側を見るのを避けた。

 多くの採用担当者から得た感触では、この歳で同じ様な仕事を探せば若手を指導する立場の人間しか社会は求めていなかった。管理能力が乏しい朔郎には荷が重くまた飛び込む気力もなかった。

 退職金と云う独立資金の一部に出来る金も有るが人使いが苦手な彼では無理で、まして得意先は開拓出来そうもなかった。感性を捨てれば仕事はあるが……。

 佐恵子はブティックを任されている。そこへ行けば使ってくれるかも知れない。い~や考えが甘い、それより俺のプライドはどうなる。

「働かざる者食うべからずか」

 遊べば半年、質素にしても長くて二年で蓄えは食い潰す。その先を考えると止めどもなく恐怖が湧いてきた。それは生への執着心のなせるごうなのか。彼は尚も己に問い続けた。


 黄昏が川面を染めて暮れかかる頃に仕事の終わった綾子は、桜宮さくらのみやの近くの喫茶店で友達の裕子ゆうこと会っていた。

 裕子とは大学時代からの友人である。彼女はあの頃に比べて着飾る事もなく、自分を忘れるほど熱中する物もなくなっていた。

 あの頃は行動力があって後から理屈が付いて来た。今は物事に慎重になる、と云えば聞こえが良いが要は億劫になった。だが話題は豊富だった。

 裕子は某会社の受付嬢をやっている。三人が交代制で一人は二十歳そこそこのギャルでもう一人は四十に手が届くおばさんだ。彼女もそのおばさんのグループに入っていた。



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