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陰り逝く日々  作者: 和之
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友美は正幸の心に踏み込む2

「裕次くん、あの子は調子のいい子だからねぇ」

 佐恵子にすれば裕次は正幸の部下として良く家に連れて来て気心は知っていた。妹も姉の影響を受けて歳も近いこともあり気軽に付き合いだしたが安請け合いも困りもので偏った情報源には笑った。が心底しんそこ貶していなかった。裕次はお調子者だが何事も生真面目に取り組む男に違いなかった。だから佐恵子は彼の本心を知れば心の底から笑えず、隠し事をしても責めない。裕次もわだかまりから来る哀しさを笑いで誤魔化しているのだ。

 突然に奥から「誰が来ているのか」と云う正幸の声がした。

 佐恵子は妹が来た事を奥に向かって伝えた。

「じゃあそんな所で立ち話しないでこっちへ上がってもらえよ」

 佐恵子は何を言い出すか分からない友美の顔を見て迷った。

「お姉さん、何事も早期発見、早期治療よ」

「此処は病院じゃないのよ」

 佐恵子は何処か寂しそうな笑いを浮かべたが、その瞳にはこれ以上は隠すのが無意味に見えた。

「じゃあ治療を始めるわよ」

 止めるすべのない佐恵子を見限って友美は正幸の所へ行った。

 奥の居間は八畳の和室で、床の間には北山杉の床柱を中央にして、右には組違い棚があり左は墨絵の掛け軸が掛かっていた。

 床の間に置かれた小物以外は座敷机が有るだけのシンプルな純和風な作りだ。

この部屋だけは二人の要望に添って生活臭さが漂わない場所にしてあった。狭い敷地だがこの部屋に面して一方だけ僅かだが庭が造られていた。庭と部屋とは縁側と障子によって隔てられている。

 友美は廊下から障子を開けて部屋に入った。





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