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陰り逝く日々  作者: 和之
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佐恵子と朔郎と友美6

「あなたは正幸がどういう人間かまだ解らないんですか、いや解り掛けて来たからこそ僕に会いに来たんだ」

「あの人はあなたの親友でしょう」

「親友とは言えないが。ある時までは友人だった」

「まだ根に持っているの。でもそれはあなたが悪いのよ。正幸はハッキリとあなたに裏切られたと云いました」

 あの山での出来事は二人だけの秘密にすると正幸が自ら申し出しただけに、朔郎は自分の耳を疑った。

「それは本当ですか……」

 答えたくない佐恵子の沈黙に朔郎は頭に来た。

「嘘だ、裏切ったのはあいつだ !  まあ有美子さんに一度訊いて確かめるといい。本人に訊くのが一番の早道だが、あいつが白状するだろうか、まあ後は良心の問題だ」

 果たしてあいつが十四年も良心の呵責を引きずっていられるのか ?

 窓の外が黄昏れているのに気付いた友美は、慌てて腕時計を見た。裕次との待ち合わせ時間が迫っていると伝えた。

 またかと朔郎は思った。前もそうだった。佐恵子はどうしてそんな約束のある妹を連れて来るのか。

「あなたはどうして一人では来られないんです」

 いつもの佐恵子らしくなかった。

「そうよ。でもお姉さんはもう少し話したら。話も込み入って来たみたいだし。じゃあね。じゃ北村さん」

 友美はサッサと行って仕舞った。

 妹が抜けると間が空いた。その間を詰めるには話の展開からこの馴染みの店は気詰まりだった。それだけ友美の抜けた穴が今日の佐恵子には大きかった。彼女は仕切り直しを求めた。

「お店を出て、少し歩かない?」

「何処へ?」

 朔郎は友美のドタキャンが効いたのか、気が失せて来た。

「鴨川でも……。時間はいいんでしょう」

 今日は朔郎が断った。

 もう俺の口から言いたくはない。君を失ってから俺は長い旅に出て、今もさすらっている。これをどう受け止めるかは君の勝手で、正幸からじかに訊いてくれ。


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