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陰り逝く日々  作者: 和之
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佐恵子と朔郎と友美1

 やっと踏ん切りが付いた頃に佐恵子から「お世話になったかおりの事でお礼が言いたい」と誘いの電話が掛かった。

 とりあえず場所はこの前に有美子と会った喫茶店『篝火』を指定して来た。

 朔郎が来店するとマスターは三つ並んだテーブル席の一番奥に奨めた。彼は空いているカウンター席をチラッと眺めてから座った。座るとマスターは「すぐに来ますから」と佐恵子の遅延を知らせた。

 そう云う事を仲介してもらえるほど此処のマスターとは懇意になっていると云うことなのか。思案に暮れる朔郎は最近また始めた煙草を取り出すと、前の壁には禁煙のステッカーが丁度眼の高さに貼り付けてあった。慌てて煙草を仕舞ってから手持ち無沙汰に窓の外を眺めた。センス良く着こなしている感じの良い女が歩いている、連れの女はヤンキーぽかった。妙な組み合わせだと見ていると真っ直ぐこの店に来た。そこでハットして見るとその一人は佐恵子だった。そうするともう一人は妹の確か友美とか云う展示会場に一緒に来た子だ。

 佐恵子は妹の友美を連れて入って来た。

 この前の写真展もそうだが、何故いつも二人で来るんだろう。正幸への言い訳に妹を連れて来るのか。それじゃまだあの夫婦は相手の出方を探り合う冷戦状態にあるのか。

 友美はこの前と違って顔が合うと向こうから笑顔で挨拶してきた。朔郎も慌てて笑い返した。

 二人は着席するとマスターにコーヒーの注文と合わせて妹も紹介した。ふたりを見比べたマスターの可怪おかしな顔付きに「末っ子なんです。間に兄弟はまだ三人いるんです」とすぐに反応した。

「そうでしたか、兄弟が多いとさぞ賑やかだったでしょう」

「もうケンカばっかりして姉は、いつも弟達をいつも泣かしていました」

「友美! マスターが本気にするじゃないの」

 マスターは「分かってますよ、そんな人じゃないことは」と云う顔をして中へ戻った。


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