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陰り逝く日々  作者: 和之
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朔郎は堀川と新居を考える3

「分かった、そうするか」

 綾子は用意していた住宅情報誌を出して幾つかの物件を示した。朔郎は一瞬、マジ? かと呆気に取られたがここで動揺は禁物、すぐに気持ちを切り替えた。彼女の示した物件にその都度、意見を述べて最終的に二人の意見が合った物件をこれから見に行く事になってしまった。

 地下鉄御堂筋線の東三国駅から淀川の方へ十分ほど歩いた川縁のマンションが気に入った。彼女はその日のうちに賃貸契約を済ませてしまった。綾子のこの電光石火の早業に朔郎は為す術もなく見事に振り回された。

 朔郎は荷造りの為に自分のアパートに戻ったが一人になりたい為の口実に過ぎなかった。部屋へ戻ると仰向けに寝転んだ。目まぐるしく変わったこの一週間はいったいどうなっているのだ。彼は両手を頭の後ろに組んで天井を眺めていた。そこで急に掛かって来た電話で飛び起きた。電話は狭山からだ。

「今さっき堀川から聞いたが、来週の日曜から一緒に住むんだって」

 この現実に頭が付いて行けなかった。急に自分の予想より凄い早さで物事が回っているのに、戸惑いを通り越してしまった。

「そうなんだけど」

「嫌なんか!」

「いや、そうじゃない」

 朔郎は強く否定した。

「じゃあ、ええやないか」

「そうだけど。急なんで頭が付いていかないだけさ」

 電話の向こうで狭山は笑っていた。笑い終えると狭山は意外な事を言い出した。

「この前に来た時には堀川が北山のブティックでかおりちゃんと佐恵子さんに会った話はしただろう、それでお前が福井へ言ってる間に多恵とまた会って、堀川の気持ちを確認した上で一緒に暮らしているという既成事実を作り相手に付け入る隙を与えない、諦めさせる事が肝要と多恵が意見した。堀川は早速それを実行に移しただけだ」

「狭山、それをなんでもっとはように行ってくれないんや、そしたら心の準備が出来ていたのに」

「北村、お前の場合は考えると結論を先延ばしするから知らせなかった、悪く思うな俺の親心と思え」

「しかしなあ、これは人生の大きな節目になるから、物を深く考えるのは当然だろう」

 狭山は突然電話口で声を上げた。


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