6話
俺の母親と有美の母親は昔から仲が良かったみたいだ、母方達の出会いが中学生だったとか、それからも仲が良好でお互い家を隣にしてしまうほどだ。
そのおかげで俺と有美は幼馴染として出会ったのだ。
俺と有美は何をするにもほとんど一緒で、周りから見たら……、まぁ仲が良過ぎてじゃっかん引くだろう。
昔幾度となく恋人と勘違いされたが別に付き合っているわけではない。
俺はそんな事に思いながら着替え終えた。まだ家には誰もいない、優子はまだ学校、父は仕事、母は買い物がてら散歩だ、いや散歩がてら買い物か……。
「おーい、有美!」
今から有美と昼食を共にする予定だ、もちろん有美の手料理で。
「はいっ‼」
勢いよく窓が開かれる、俺はいつもみたく苦笑する。
「まだお前の家にも誰もいないだろ?」
「うん、いないよ」
もう腹が減りすぎて限界だ、早く有美の料理を食べたい。
「じゃ、そっち行くぞ」
「うんっ」
有美は顔を輝かせ大きく頷いた、一人の食事は(有美の料理を除いて)美味くないからな。
俺はそう思い両親不在の有美の家へと窓から入る。
有美の家は両親共働きで、昼に帰ってくると大抵誰もいないことが多い、なのでこんな日はいつもどちらかの家で一緒に食事をとる。
・・
時計を見ると二時を回っていた。
有美の腕前をたっぷりと堪能した後、俺と有美は有美の部屋で新しく有美の買った小説を読んでいた、結構シンプルで、大きく挙げるものは小説が詰まりに詰まった本棚と俺と有美が映っている写真立てくらいだ、何故か有美はしわのよった写真を大切にしていて、今どきの写真を保存し、壁に映し出したりするプラネタリウム的なやつを使おうとしない。小説もそうだ、携帯端末に入れようとしない。
俺も機械は苦手だが……。
すると、急に大きな声とともに俺の家の玄関が開かれた。
「お兄ちゃんっ‼」
俺と有美は顔を見合わせ苦笑する、優子が帰ってきたのだ。
元気な足音、その後俺の部屋の扉が開かれる音。そして窓に駆け寄り勢いよく窓を開ける。
そして俺に気付いたのか笑顔で、
「ただいま!」
そう言った、俺は苦笑し、優子を見る。
「おかえり」
・・
俺は自宅へと戻り母の帰宅を待つことにした、そして二時半頃母は帰ってきた。
優子に一個、俺に二個、一個は有美の物だ。
再度俺は有美の部屋へと赴く、ちなみに母は帰ってくるなりソファーへとダイブし数秒後には夢の中へと誘われていた。
母よ、よくそんなで結婚ができたな。
優子も母からアイスを受け取る、も何故か不機嫌だった。
一体なんだろうか。
俺は有美の家の窓を叩く。
「和くん? どうしたの」
俺が来ることを予測できなかったのか、有美は普通に窓を開けた。
「アイス」
俺はそう言い有美にアイスを見せた。
・・
「おいしいね」
有美は美味そうにアイスを口へと運ぶ。
「あぁ」
俺もそう言い黙々とアイスを食べる。
すると、
「おにーちゃーん、おーい」
優子の声がした。
俺はゆっくり立ち上がり窓を開ける。
「何だ?」
「今週の土曜日お出かけしよう」
「お、おう……?」
俺がそう言うと、優子は「イエー!!!」と叫びながら自室へと戻って行った。
「何なんだ…… 有美?」
横をちらりと見ると、口を尖らせている有美が俺をじーっと見ていた。だが目が合うと「はぅ」と有美は言い俺から目を逸らした。
そして二人はアイスを再び食べ始めた。
だが誰も予期せぬ災いがもうすぐ俺を襲うことを、そしてその時俺がこよなく愛する平凡な毎日から引き剥がされ、危険な非日常へと放り込まれることを、誰も知らない。




