魔法騎士コース
魔法騎士コースのヒュードル様を見に行く。
フォーリア様、ミーレイ様とリヨール君と、偶然に行きあったネリーもついて来た。ミーレイ様がお声がけしたから。
「事情を知らない人がいた方が自然に見えるものよ」
そ、そういうもの?
ミーレイ様が策士に見える。
訓練場は広いけれど、見学者が入れるエリアは決められている。
騎士コースに所属している学生の婚約者やその友人が多そうだが、ネリーのように、推しを見に来ている女子もチラホラ。
「来た!来たよ、ほら!イエン様!!!」
「ダリウス殿下もご一緒だわ!!!今日はお二人が打ち合うのかしら?」
…やばい。
何故だか、少し、身の危険を感じる。
と言うのも、二人が姿を現したのに気がついた数名が…こちらを、フプリーを見たのだ。
…大丈夫、一人じゃないし!
今日はフォーリア様の御用に付き合って来た、と言う名目だし!!!
隣でネリーが殿下に黄色い声を上げてるし!!
「来たよ。あの方が、ノルド辺境伯のご子息だ」
リヨール君が教えてくれる。
示された先を見ると、スラリと背の高い、茶髪のイケメンさんがいた。
ダリウス殿下やイエン様のような煌びやかな雰囲気はない。けれど、少し大人びた雰囲気で、なんと言うか、身体全体が無駄なく動きそうな気配?
イエン様もダリウス様もまだ成長過程で、これから身長も伸びるであろう少年の雰囲気を残している。
一方で、2年の差だろうか。
ヒュードル様はすっかり青年といった雰囲気を纏っていた。
「わぁ、かっこいい方ですねぇ」
素直な感想を述べると、横からネリーが「カッコいい」に反応した。
「え?誰々?フプリーの推しメンはどこ?!」
「ネリー、声が大きい…」
フォーリア様が、ヒュードル様を示す。
「へぇ〜。フプリーはちょっと大人な男性が好みなのね!」
「だから、声が大きいってば!」
周りが一斉にフプリーを見た。
わ!!
目立つつもりはなかったのに!!!
え?あれ?
よそのお嬢様方が、コソコソと何かを話している…
あれ?
そう言うことになってしまった感じ???
ちょっと、居た堪れなくなって、訓練はちょっとしか見られなかった。
それでも、ヒュードル様が手にした剣に魔力を流して打ち合う姿が見れたのはちょっと良かった。
魔力は、剣に流しても見ることができるんだなぁ、と、これもまた初めて知る。
そもそも、剣を使うところなんて、初めて見る。
ヒュードル様の魔力は鋭く、なん言うか、混じり気のない風のようだった。スカッとすると言うか、スッキリするというか?
魔力も良かったけど、その剣技も素晴らしかった。辺境伯のご子息だから、どうしたって国防の要となる土地柄、戦う術は必要となる。
それは公爵家でありながら辺境に領地を持つイエン様も同じであるらしく、コースの選択時に迷いはなかったらしい。
ダリウス様も騎士コースではあるが、どちらかというと戦術や戦略といった指揮官としての能力を求められることが多いらしく、それでも辺境のお二人に負けず劣らず、見事な剣技で打ち合っておられた。
剣に魔力を流す様を見て…なるほど、王家の魔力が魅力的だと言われる理由もわかった。
黄金色の、輝かしい魔力。
ダリウス殿下の魔力は力強く華やかな光のようで、イエン様の魔力は同じ黄金色でも滑らかな光だった。
…魔力って、こんなに違うんだなぁ。
キャアキャアと盛り上がる他の女子たちから離れると、ネリーに腕を掴まれる。
「ちょっと!どこ行くの?!」
「いや。もう、なんというか、怖いので帰る」
「ええええ?!せっかく来たのに?!」
ネリーは不満顔。
「フプリーが帰るなら私たちも帰るよ」
ミーレイ様とリヨール君も同調すると、ネリーは私は残るわ!と手をひらひらとさせた。




