見える見えない
魔法陣コースのダニエル様には授業中に接触出来る!というので、フプリー☆はさりげなーく間合いを詰めていくことにした。
ダニエル様が子爵家の方なので、フプリーの友達(図鑑編集部を除く)も一緒に行動しやすい。
子爵家のローザと男爵家のカーレはフプリーと同じ魔法陣コースだが、
「あまり事情を知っている人が多すぎるとややこしい事になるぞ」
という、とてもまともなダリウス殿下の発言の元、今回は編集部以外には婚約者云々の話の続きをしていない。あ、レベッカには編集部より先に相談しちゃったから知ってるけどね。
ダリウス殿下とイエン様は魔法騎士コースを取られているので、訓練の日程を手に入れるのは比較的容易く、こちらのお二人にはヒュードル様の為人調査と、訓練を見に行く口実になっていただいた。
イエン様にもこの件はお話ししてないので、疑問に思っているだろけうけれど、「ダリウス殿下の行動に慣れているから大丈や夫」と、謎のお墨付きをフォーリア様からいただいた。
さて、魔法学校組で唯一接点を作りにくいガレ伯爵家のメルト様は魔石コースであるが、幸いな事に一番最初に相談したレベッカが魔石コースを取っている。彼女もやはり、巻き込んでおいた方が良さそうな気がする…
魔法陣コースのダニエル様は、とても美しい魔法陣を操る秀才だった。
立体に組まれた魔法陣に感動したフプリーが
「天才がいた!」
と叫んだところ、ご本人から
「僕は秀才止まりだよ」
と、自己申告があった。
どちらにしても、優秀である事には変わりがないので、フプリーは彼を、「秀才ダニエル様」と覚えた。
秀才ダニエル様が魔法陣に載せる魔力は澄んだ水のように清らかで、フプリーは何時間だって見ていられる。
それをそのまま口に出したら、照れくさそうに笑った先輩から、共同研究の班にお誘いいただけた!
カーレも同じ班に入れたので、秀才先輩とは自然に仲良く慣れそうなきがする!
フォーリア様が編集部にそのまま報告をしたので、フプリーは根掘り葉掘り聞かれる。
いや、あの、まだ全然わからないのですけども!
絞り出した感想は、
「…魔法陣に載せた魔力がとても綺麗でした」
だけ。
それを言ったら、皆んなが、一瞬止まった。
「そう、魔力は大事よね」
ぽつりと、フォーリア様が言う。
あれ?
わたし、何か変なこと言ったかな?
「うん、僕もミーレイの魔力が好きだもん」
チラリと、リヨール君がミーレイ様を見ると、ミーレイ様は真っ赤になって、顔を伏せる。
「私の魔力は、ブリアの二人と違って王家に連なるとは思えない色をしてると思うけど」
「何言ってるの、お日様みたいな魔力だよ!」
「…ありがとう。私も、リヨールの生き生きとした魔力が好きよ」
…これは、なんだろう?
惚気始めたのだろうか?
フプリーはポカンとした表情で彼らを眺めていた。
魔法陣も魔道具も生活の中にあるから、普段から利用はしているけれど、彼らが魔法陣に魔力を乗せたところは見たことがない。
ミーレイ様の魔力はお日様みたいで、リヨール君の魔力は生き生きとしてるのかぁ。
「フォーリア様の魔力は、王家の方々の魔力に近いのですか?」
…
一瞬の沈黙の後、ダリウス殿下が私の頭を掴む。
「そうか、お前。魔力が見えないんだな?」
え?
「魔力ですか?魔法陣に載せた時の、あれですよね?見えますよ?」
「あー、いや、それもそうなんだけど」
「見えないことは珍しくはないよ。王家の血筋は見える人が多いみたいだけど」
ん???どうゆうこと?
「魔力は、見える人には普段から見えているのよ」
「え?今も?」
フプリーの素朴な質問に、揃って頷く。
「私の魔力も見えるの?」
「見えてますよ」
どんなふうに?
と言う質問に、
ダリウス殿下と、フォーリア様の感想が同じ。
「…美味そう?」
「…美味しそう」
よくわからないけど、私の魔力が、
「美味しそう」なのだと言うことはわかった。
私は年が明けたら15歳になるのだけど、15年ほど生きてきて、魔力が普段から見えるものだと言うことを初めて知った。
うちの家族はみんな見えてるの?
そんなこと、話したこともない。
王宮魔術師の中にも見えない人はいるって言うし、珍しいことではないと言うけれど、フプリーにとっては青天の霹靂的な大事件だった。
ちょっと、他の人たちはどうなのか気になったので、お友達に調査してみる。
結果、
レベッカ→気配だけわかる
ローザ→見えない
カーレ→うっすら?
カーレ曰く、魔力ある人とない人の区別はつくよ、と
ネリー→見える
えええ?
普段から見えてる人、こんなにいたの?!
「殿下の魔力なんて、めっちゃ綺麗だよ!」
と、ネリーに力説される。
…そうなの?
見たことないからわからないけど…
そんな話を寮でしていたので、フォーリア様のお世話をしているコレット夫人からにこやかに微笑みながら、私も見えませんよ、とお声がけいただいた。
「けれど、そうですね。魔力持ち同士であれば、魔力の相性は大事ですよ。友人でも、家族でも、主従でも、魔力の相性が良くなければ、そばに居て居心地も良くないものです」
友達でも、主従でも?!
「はい。フォーリア様もそうですが、王家の魔力はとても心地よいと判断されることが多いといいます。私も、お嬢様の側に居て、とても居心地が良いですよ」
「フォーリア様は、コレット夫人の魔力はどう見えるのですか?」
尋ねれば、フォーリア様はコレット夫人を見る。
「夫人の魔力は丸いね。安心できる」
その評価に、夫人は少し恥ずかしそうにする。
「夫からも、丸いと言われたことがありますよ。プライベートな事なので、言葉にされると恥ずかしいですね」
コレット夫人のご主人は今、イエン様の従者をされていると言う。夫人の二人の子供たちはすでに成人されている。
「私には魔力が見えないけれど、フォーリア様のお側は好きです。これ魔力が関わっているのでしょうか」
「さて、それが全てではないでしょうけれど、全く無関係ではないと思いますよ」
そうか。そうだったのか。
そうとなれば…
「レベッカには、婚約者が居たわよね?魔力はどう?心地よい??」
勢い込んで聞いてしまった。
真っ赤になった、レベッカが、言葉に詰まる横で、フォーリア様が無表情を崩して吹き出して笑った。
「フプリー、それって多分、とても性的な意味に取られる可能性が高いよ」
え?えええ?!
「彼とのキスは気持ち良い?と聞いてるみたいなものなのよ」
と、ネリーが言う。見えないはずのローザもうっすらのカーレも頷いている。
私、もしかして物凄く、ハシタナイことを言った?
「ここが寮で良かったわね。男子が居たら、ちょっと、イヤだわ」
そ、そんな感じ?!
ちょっと待って!
これに似た話、
編集部でしちゃったけど。
リヨール君とダリウス殿下…
二人を思い浮かべて、
あー、まぁ、、大丈夫、かな?
と、フプリーは判断した。




