エピローグ
フプリーは、いま、もの凄い豪奢なドレスを着せられて、即位されたシュドリウス陛下の前に跪いている。
陛下のお隣には、サーシャ王妃。
そのすぐ後ろには、両陛下の初めての王子が乳母に抱かれてスヤスヤと寝息を立てていらっしゃる。
初めてサーシャ王妃にお招きいただいたお茶会から、間もなく10年。
おかしい。何故こうなった?
隣には、スラリと美しい男性になったダリウス殿下が並んで膝をついている。
伏せられた瞼の先の長い金のまつ毛が動いて、宝石の様な青紫色の瞳がこちらを見る。
チラリ、と、フプリーの中にあるダリウス殿下の魔力が動いた。
なんだろう、ちょっと、悔しい。
あんなに足掻いたのになぁ。
お気楽ポジ志願だったのに、王族に嫁入りって…
まぁ、お世継ぎが生まれたからには、臣籍に降りられるだろうけれど。
周囲には、王家に生まれた方々。
恐れ多い、本来はもっとずっと遠くに存在していたはずの方々が、祝福をくださる。
そして、カルマンの親族と、私と親しくしてくれている友人たち。
残念ながら、フォーリア様は不在だけれど。
父はようやく肩の荷が降りた、という顔をしていて、母は待ちくたびれたわよ!と呆れた顔でお祝いしてくれる。
セナーお兄様は、お忙しい中あれだけ振り回しておいて、と毒付いていたけれど、エネット様がとりなしてくださった。
マーリエお姉様は、ジオーヌ様の隣で済ました顔をされているけど、ジオーヌ様!あの時の裏切りを私は忘れていませんからね?
来年には女伯爵になられるミーレイ様と、その隣にはリヨール君。彼とはよくお仕事で顔を合わせていたけれど、お二人の間にはもう息子さんが2人いて、モード家の女性継承が次代で途切れることになる、と話題になっていた。ミーレイ様は娘が欲しいとおっしゃっていたけれど、きっと娘さんも生まれるよね。
王族の結婚式に参加するだなんて、信じられない!と、大騒ぎしていたレベッカやカーレ、ローザはそれぞれ旦那様にエスコートされている。
いや、まさか、カーレが歌劇団の演出家さんと結婚しちゃうとは思いもよらなかったけど。
職場からはダニエル先輩が参列してくださった。先輩は相変わらずお一人だけど、メリッサ様が最後にスカウトしてきたラキアさんと良い感じなのをフプリーは知っている。
メリッサ様からは不在にして申し訳ない、と魔法の手紙が届いていた。
殿下は口元に、満足そうな微笑みを浮かべていた。
満足ですね?
もう、いいですよ、貴方のものです。
フプリーも、殿下と同じ笑みを浮かべる。
だけど、殿下も私のものですよ?
くそぅ…逃げきれなかったなぁ。
だけれど今、フプリーは確かに殿下を愛している。
これにて、フプリーは逃げ切りたい、が、逃げられずに終了となります。
お付き合いいただきありがとうございました!
グレイシアの話が本編だったはずなのに、この話が1番長い。
この世界を、気に入っているので、また次の話も考えたいと思っています。
グレイシアもモリーもポリアンナも、そしてフプリーもモテモテさんだったので、今度はモテない女子に行きたい。
また間が空いてしまうと思いますがらよろしくお願いいたします。




