疑惑の人
寮監の先生とのやりとりは、そのまま人物像図鑑編集部に持ち込まれる。
フォーリアがレベッカとローズも呼んで、学食の横にある茶会室と呼ばれる個室を利用することにした。
ここは、高位貴族令嬢達が利用しているのをよく見かけるが、フプリー達は初めて入る。
念のため、人物図鑑も持参していた。
「…何それ、気持ち悪いね」
何故か、リヨール君がお茶を淹れてくれようとする。レベッカがそれに気づいて慌てて立ち上がり、代わる。
は!私も!!!
と、立ちあがろうとするのも、殿下に腕を掴まれて座らされる。
「これを見て、ローザとレベッカの部屋にも行くことを決めたと言うこと?」
「状況からみて、そうかなと」
「にしても、じゃあお前は?お前も普段の魔力は見えない、と知ってたってことになるよな?」
…そういうことに、なるの?
「偶然とかではない?かな?」
フプリーは偶然を信じたい。
「普通は魔力が見えてると思うから、部屋に入ろうとかは考えないよね」
「…見えない人の普通で言えば、どこに入ってもバレないと考えるかも?」
「つまりお前に魔力を見る力がないことを知ってる奴で、魔力が見れる奴だよ」
「魔力が見れる人なら、残滓が残るのは経験上わかるものね」
「見える見えないの話をする時、自分の話をするよな?」
…する。
「ここに魔力視についての名前がある奴以外に、話したことは?」
「…この方達と皆さん以外には居ません」
ダニエル先輩とエルヴェ様は卒業している。
「ニッカ子爵令嬢は、互いに見える見えないの話もするでしょうね」
他に見えるのは…
「ネリー?」
私たち、間違えてない?
ひとまず、この人物図鑑に鍵をかけたほうが良いだろう、と言う話になった。
私としては、この図鑑を燃やしてしまったほうが良いような気もしたのだけれど、皆が口を揃えてもったいない!というのだ。
それなら部屋のドアと同じシステムにしようとしたら、殿下がもう少しセキュリティの高い王宮で使用する魔法陣を使ってくれると言う。
フォーリア様もご存じの魔法陣だったようで、皆の勧めに従って、そちらの魔法陣を使うことにした。
ダリウス殿下が描いた魔法陣をフォーリア様が少し書き換えて、人物図鑑の封印がされた。
「これで、この図鑑はフプリー以外には開けない様になった」
フォーリア様が微笑む。
うん、安心できる。
「誰の仕業かと言うのもあるが、何故部屋に入ったのか、目的の方が気になるな」
「うん、そうだよね。フプリーの部屋に入った理由もだけど、この図鑑を見て、レベッカさんとローザさんの部屋に入った理由も」
「何故、手紙を持ち去ったのかしら?」
謎は謎のまま。
これと言った決定打がない分、ネリーに変なことを尋ねるわけにもいかない。
この話は、ここだけにする。
そう決めて、解散した。




