侵入者?
冬休みに入る直前に、気がかりなことが出来た。
それは、寮の部屋。
初めは全く気にならなかった。
でも、何か、おかしいのよね。
お隣のレベッカに何となく相談したら、すぐに図鑑編集部に知れてしまった。
どうも、レベッカも編集部の隠れメンバーだったようだ。
フォーリア様が部屋を見にきて、
私は密かに、「おお?!私の部屋にフォーリア様が!!!」と妙な感動をした物だ。
「フプリー以外の魔力が残っているね」
「?誰かが入ったと言うこと?」
フプリーは一人部屋で、依頼すれば部屋の掃除を寮の使用人がしてくれるが、広くもないので自分で済ませている。
誰かが入るということはないはずなのだけど。
「誰だかは、わかりますか?」
フォーリア様は難しい顔をする。
「本人がいればともかく、残滓だけだから、よくわからない。でも、フプリーの魔力じゃないのは確か」
…美味しくなさそうな気配ってこと?
「何のために入ったのかしら?」
レベッカを含め、3人で首を傾げる。
正直に言って、フプリーの部屋に入って何か高額なものというのは無い。
学校で使うものなど、たかが知れているし。
念のために、コレット夫人が部屋の中を確認してくださる。
「毒物や刃物などもありません。窓や扉の鍵や蝶番に異常もないのですが、では、どうやって入室したのかしら」
鍵、なのだ。
魔法学校なのに、いまだに寮の個室は物理的な鍵式だ。
魔法陣や魔道具の鍵ではない。
聞けば、フォーリア様の部屋の鍵は魔法の鍵に付け替えているそうだ。
魔法の鍵は、魔力を流して利用する。登録しておけば、本人の魔力以外ははじくので他人が鍵を使うことはできない。
魔法陣で同じように自分だけしか使えないようにすることはできなくもないけれど、魔法陣の主人に何かあったときに、部屋が開かずの間になってしまう。
過去にそんなことがあったものだから、鍵をオリジナルの魔法陣に置き換えることは禁じられていた。
「そんなふうに禁じるくらいなら、学校側で登録制のものを用意してくれてもいいのになぁ」
「魔道具としての魔法の鍵が存在するので、鍵の魔法陣というのは作る気がなかったのではないかしら」
難しい魔法陣はみんなが真剣に作るけど、こう言った簡単なものはかえって誰も作らないんだなぁ。
不満だったフプリーは魔力登録制の魔法陣の鍵を作った。アマリオ先生に寮で使用できないか掛け合って貰ったところ、買い取ってくれることになった。
…え?お金とか、いいんですけど?
「魔法陣は開発すると開発者に3年ほどの使用権が生まれる。都度利用毎に使用料を発生させる場合もあるが、鍵という特性上、買取が妥当だろう」
へえ、そうなんだ。
感心していると、金額の話になって…
「え?!こんなに?!!」
びっくりする金額だ!
「寮だけではない。研究室にも、立ち入り禁止の扉にも使える。登録者の魔力を小さな魔石に入れて預かるというシステムも込みの値段だ」
…わぁ、私、メッチャお金持ちになった。
「これは学校が使う権利を買い取った金額。権利自体は君のものだから、少なくとも3年間は権利を管理する必要がある。個人で出来なくもないが、こちらで預かるとこも可能だ」
権利…
「昔、ルヴィルの娘が次から次へと新しい魔法陣を作るので、それ以来学校側も管理部門を設けている。まぁ、卒業後も管理が必要ならば有料になるが継続利用できる」
ルヴィル?あー、なんか、繋がった…
「そういう連中は大体が研究室にはいるから卒業後は研究室管理になることが多い。君もメリッサのところに行くだろう?」
「…え?」
なにか、幻聴が聞こえたような?
「何だ、まだ聞いていないのか?メリッサが、カルマンの娘は自分が貰うから、他は通すなと言ってきているぞ」
何だろう?
まるで嫁取りのセリフのような…
「トムソンもあそこの研究室に行ったから、丁度いいのではないか?」
トムソン?ああ、秀才ダニエル先輩はトムソン子爵のご子息だった…
え?まって?
「私、メリッサ様の研究室に入れるのですか?」




