噂の上塗り
夜会は素晴らしかった。
ええ、もう、キラッキラで。
本物の舞踏会を見た。
自分も着ていたけど、皆様のドレスが素晴らしかった!
ぶっちゃけ、私が着ていたドレス、メッチャ高級じゃないの、これ?と、周りと見比べて初めて気がついた。
小柄な私は姉や母のドレスは合わないので新調したけれど、下位貴族はリメイクドレスが多かったし、毎年参加されている領主の夫人たちも家位次第でドレスの質もだいぶ違うことを知る。
フプリーは、ディプソーの皆様に改めてお礼の手紙を送った。
ローザは夜会の時にロイド様にエスコート頂いていたようで、ディプソーの婚約者として社交界に認知されたようだった。
茶会の練習の成果もあってか、領主夫人たちにもそつなくご挨拶ができたようだ。
殿下の隣に立つ私は、大いに誤解された。
私は違う!!!!
大声で叫びたかった。
夜会の間中、陛下、妃殿下、王太子殿下とその婚約者のサーシャ様、王女殿下
とその婚約者のトナー様のお側に居て、まるで私まで王族の身内になるのか?と言わんばかりのポジション…やめて…違うから…
フォーリア様がイエン様との兄妹ペアで見事にダンスされていて、見惚れはしたが、いや、この席で見ていたく無い。
光栄ですよ、光栄でしたよ、他人の目がなければね!
視界の隅に、レベッカっぽい人の姿を見かけて、追いかけようとしたけど、迷子になるから、と、殿下に止められる。
まぁ、確かに、あの人混みでは、迷子になる自信はあった。
「なんだ、踊りたいのか?」
と手を取ろうとする殿下に、全身全霊でご遠慮申し上げた。
踊れないし!まだ!
いや、いつか踊れるようになりたいよ?
ダンスの授業もあるし。
でも、まだ私は真剣に練習したことがない。
踊る気がないから。
夜会を終えたあとの、私の立ち位置は、「殿下の隣」が定位置と認知されてしまった。
カルマン伯爵家のフプリーは、ダリウス殿下の婚約者候補の筆頭に躍り出た。らしい。
お父様ももはや否定することはしなかったよう。
否定のしようがないだろう、事実私はあの日、殿下の隣にいたのだから。
私が私でなかったとしたら、そして夜会の私をみたら。
間違いなく、それは殿下の婚約者にしか見えない。
そんな事実はないのに。
あーーー、誤解なのだけど、今現在、その誤解を真剣に解かないといけない理由がない。
そのくらいに、この立ち位置に慣れてしまった。
ダリウス殿下、早くちゃんとした婚約者見つけてくれれば良いのに。




