ハイソなお茶会
本当にお茶会にご招待頂いちゃいました!
モード侯爵家のお茶会…ドレスどうしよう?!と、思ってたら、うちのお茶会は制服縛りですよーって!
え?そんな縛り有り難すぎる!毎回それがいい!
「 我が家で学校の友人をお招きするときはなるべく制服縛りにしてるのよ。みなさん、タウンハウスからいらっしゃるとは限らないし、街中でお茶するわけではないから、怒られないでしょう?」
ミーレイ様!素敵すぎます!
「あ、寮を使われてる方で、寮の馬車を確保できなさそうなら、我が家から迎えをよこすから、遠慮なさらずに言ってくださいね」
至れり尽くせりすぎる!!!
「マナー講師のキャンベル先生はもともと我が家の専属だったんですって。先生がプロデュースしてくださったお茶会の形がとても気遣いに溢れていて、我が家の催しは全てそれがベースになっているの」
キャンベル先生、厳しいだけではなかった!
そして、王家に連なるモード侯爵家は半端なかった!何と言うか、ハイセンスなの。女性が当主だからか、お庭にしろ、テラスにしろ、絵に描いて残したいくらいに素敵!
ちなみに、フプリーは歌は下手だが、絵心はある。この庭…この花壇…この東屋…目に焼き付けておこう。
そしてテーブルに用意された菓子の数々!!
男子も招かれているからか、菓子だけではなく軽食も用意されていて、でも見た目がとても軽やかで華やかなのだ。
「こんなお茶会に招かれるの、多分初めで最後だわ!」
フプリーは感動に打ち震えていると、出迎えに来てくれた本日のホストに声をかけらる。
「喜んでいただけて嬉しいわ。私も妹も立場上ホスト役を担うことが多くなるから学生のうちから慣れなければならなくてね。今日のお茶会、最後まで楽しんでくださいね」
本日ホストのサーシャ様は、モード侯爵家の第一子、つまりミーレイ様のお姉様なのだけど、正統派美少女のミーレイ様を大人にして、華やかさを足したような方だった。
ご招待はミーレイ様にいただいたけれど、この茶会の主催は、お姉様のサーシャ様なのだそう。
見惚れていたフプリーは慌ててカーテシーで挨拶をする。
「カルマン伯爵家のフプリーです。お招きをありがとうございます」
「あら?ではマーリエの、妹さんかしら?」
「姉をご存知なのですね」
「同じクラスなの。今日は婚約者とのお約束があるとかで、いらしてないけれど」
え?!姉様、侯爵家…しかも、モード家のお招きを断ったの?!
姉の婚約者は同格の伯爵令息である。
姉の交友関係は全くわからないが、何と恐れ多い!!!
「…姉にもお声がけいただいていたのですね。ありがとうございます。せっかくお招きいただいたのに申し訳ありません!」
慌てて謝罪すると、サーシャ様は驚いたように眉をひらいて微笑んでくださった。
「気になさらないで。いつもは来てくれているのよ。今日は先約があっただけですもの」
モード家の第一子はサーシャ様なのに、何故第二子のミーレイ様が家督を継がれるのか。
リヨールくんが教えてくれた。
サーシャ様は、王太子殿下の婚約者様だった!!!
つまり、未来の王妃様だよ?!
姉様、未来の王妃様のお茶会ら断っていいの?!
フプリーは心の中で叫ぶ。
3つ年上の姉マーリエは、いつもフプリーをみそっかす扱いする。
甘々だけど、肝心なことは話してくれないのだ。
そして、同じクラスということは、サーシャ様も詠唱クラスなのだろう。
姉はフプリーと違って音痴ではない。なのだけど、フプリーや母のように歌劇や恋愛に興味を持たない。超現実主義。兄と姉は確実に父親に似ている。
母に言わせれば、伯爵家の第二子である姉がフプリーのような性格をしていたら、辛い思いをすることになるだろうから、父に似て良かったと話していた。つまり、母は辛かったのかな?なんて思うけれど、現実主義な父は母を目の前にすると蕩けるような顔をする。
女は愛されてなんぼよ!
と言う母だから、まぁ不幸なことはないと思う。
さて、お茶会であるが。
ここに招かれているのは同学年ばかりではなく、さらにほぼ上位貴族である。
知り合いは、ミーレイさまと、リヨールくん、そしてホストのサーシャ様だけ。
絶賛、人見知り発動中であります!
が!
サーシャ様が初参加のフプリーを連れて歩く。
他の参加者に、紹介をしてくださるのだ。
でもごめんなさい!!!
覚えられない!!!
ええと、
初めのお人形みたいな、ブリア公爵家のフォーリア様は、同じ学年しかも実は同じクラスの魔法陣コース。恐れ多くてお話ししたことはなかったけれど、存じ上げております!
同じく綺麗なお顔立ちで一つ年上のイエン様はフォーリア様のお兄様で、騎士コース。
その後にご紹介いただいたのはベルク侯爵令嬢エルヴェ様は一つ年上の魔法陣コースで 、同じ魔法陣コースで子爵家のダニエル様とお話しされていました…
ギリギリ覚えているのは、ここまで。
ここから先は誰が誰やら!
流石に、シュドリウス王太子殿下はわかる!見てすぐに、身構えた!学生ではないので、勿論制服でもなかったし!
ダリウス王子も知ってた!むしろ、ご紹介頂かなくてもいい!と思ったけど、そんなことを言うわけにもいかず、カーテシーする顔が引き攣っていた思う…
だけど、それ以外の方が!!!!
みなさま、私より上位の、学年だって上の方々なのだけど!!!!
どうしよう、マジで覚えられない!!!
顔のパーツはともかく!
爵位とお名前と学年と専攻が!
一番肝心なところがわからないのよ!!!!
半泣きの私の耳元に、揶揄うような囁き。
「お前、覚えてないだろ?」
そ、その通りです!!!
は!!!?
我に返って、振り返って、凍りつく。
「…殿下…」
「お、俺はわかるんだ」
ニヤニヤ、悪意を感じる笑顔。
この方、澄まし顔で居ればとても綺麗な顔立ちをされているのに、表情で台無し…
というか、何?なにか、目をつけられた感じ?!
「ダリウス殿下、新しいお友達を怖がらせないでくださいませ」
サーシャ様が私を引き寄せてくださる。
適切な距離を保てたので、強張った顔も少しは溶けたかも。
「サーシャ、ダメだよこれ。連れ回したって、まだ無理だって。社交に全然慣れてないんだから」
そう言って、ダリウス殿下、何故私の腕を引っ張る?!
「面白いから、俺が預かる」
え?ええええ?!
「お一人ではダメよ。殿下にも立場がおありでしょう?」
「俺はどうでも良いんだよ」
「フプリーさんはどうでも良くありません!」
サーシャ様は笑顔でキッパリと言い切られた。
「せめてフォーリア様もご一緒してくださいませ」
フォーリア様?
…え?公爵家の???
フプリーは、悲鳴をあげそうになった。
サーシャ様、大物が増えただけかと!!!
かくして、私、カルマン伯爵家の第三子フプリーは、左を公爵家ご令嬢フォーリア様に、右は第二王子ダリウス殿下に挟まれて、お茶会の記憶は、これより先、ございません。
ダリウス殿下の押し殺した笑いと、怒ってないかヒヤヒヤしていたフォーリア様の無表情で、生きた心地がいたしませんでした。




