フプリーの手紙③
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ジルベル伯爵家 ディーン様
婚姻のお申入れをいただきありがとうございます。
とても、とても光栄に思います。
私は貴方が好きです。
私は貴方に恋しています。
これがきっと、そうなんだと思います。
なにぶんはじめてのことなので、よくわからないのですが、
きっと、これが恋です。
貴方の笑顔が好きです。
貴方の声が好きです。
貴方の立ち振る舞いも好ましく思うし、貴方の言葉は私を救ってくださった。
その貴方が、私に婚姻のお申し込みをくださるなんて。
もう、震えるほどに嬉しく思います。
私たちは、両思いなのですよね?
エスコートで貴方に触れられて嬉しかったです。
魔力は少し驚きましたが、それも嫌ではなかったのです。
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フプリーは止まる。
どうしよう。
好きしか書けない。
好きなのよ。
好きなのに。
だめ。
涙が手紙に落ちてしまいそう。
慌ててフプリーはハンカチで目元をおさえる。
深呼吸。
ああ、苦しい。
自分を落ち着かせて、再びペンを手にする。
*
けれど、貴方を思うと、胸が苦しくなります。
貴方の笑顔が頭から消えません。
貴方の声が言葉が、頭から消えません。
私は貴方を好きすぎて、苦しいです。
私は、欲張りになると思います。
もし、貴方がそばにいたら。
貴方のそばにいることを許されたなら、
きっと、離れたくなくなる。
貴方と婚姻を許されたなら、
貴方が私以外の女性とお話しすることを許せなくなる。
もしかしたら、私以外を見てもだめ、と言い出してしまうかもしれない。
貴方は外交官になる。
私はそれを止めるわけにも行きません。
私は、ついていく覚悟がないくせに、我儘な思いばかりがあふれて、私は私が嫌う自分になってしまいそうです。
私は怖いのです。
貴方に惹かれることが。
貴方を好きになりすぎることが。
まだ、二度しかお会いしていないのに。
両思いだと知ってしまったら、
お茶会で女性とお話ししていた貴方を、憎らしく思ってしまいそうです。
私を好きだと言ってくださっているのに、と。
私は怖い。
私は私ではなくなってしまう。
私がもっと大人だったら違っていたのでしょうか。
ディーン様。
私は、貴方のそばにはいけません。
こんなにも、貴方に惹かれているのに。
私の我儘をお許しください。
私は、私で居たい。
貴方が好ましく思ってくださった、私のままでいたいのです。
カルマン伯爵家 フプリー
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「ああ……」
溢れる涙が、止まらない。
私、すごく、頑張っていると思う。
自分のために。
私は、私を守ったんだと思う。
私自身から。
私自身のために。
未来の私は、絶対に今の私に感謝する。
フプリーはそう信じることにした。




