兄の結婚
私がはっきりしないので、結局何も結論が出ないまま、お兄様方の結婚式を迎える事になってしまった。
義姉になるエネット様にもご迷惑をかけてしまったかしら。
次期領主夫妻の結婚は、必ず陛下の前で誓う。
ディバレイド王国は魔法陣信仰の国。
貴族は結婚を王族の前で誓い、平民は領主の前で誓うのだ。
貴族の人数もそこそこ居るので、陛下が執り仕切る結婚は爵位を継ぐもの達が主になるのだとか。
という事は、フプリーが結婚するときには、他の王族の前で誓うのだろう。もしかしたらダリウス殿下が執り仕切るかもしれないのか!?
だって、フプリーが結婚するとしたら、お相手は嫡子ではないもの。
あ、シュドリウス殿下かナタリー王女に誓う可能性もあるか。
ダリウス殿下だったら、なんだか気まずいなぁ。
綺麗に微笑まれているエネット様はとても幸せそうだ。
幸せそうな人を見ると、こちらも幸せになれる。
壇上で祝福を授与されているセヴァリウス陛下を見れば、びっくりするくらいにダリウス殿下にそっくりだった。
王妃様のお姿は姿絵でしか見たことがないけれど、きっと、シュドリウス王太子殿下は、王妃様に似ていらっしゃるのだろう。
ナタリー様も、どちらかというとシュドリウス殿下に似ていらっしゃる。
いずれにしても、王家の方々はとても華やかなお顔立ちをされている。王家の魔力は心地よいものだというから、魔法使いの多い国民の尊敬と憧憬を自然と集めているのはそういう事もあるのだろうか。
王家の、ダリウス殿下の魔力は本当にびっくりした。
…すごく綺麗だったし心地よかったけれど。
婚姻の許可を得た二人が陛下の前で婚姻の魔法陣を交換する。
この言葉自体は聞いたことがあったけれど、実際に見るのは初めてだった。
互いが互いの額に魔法陣を描き、その額を合わせる。
ふわり、と。
二人の体から魔力が立ち上がり、混じり合い、額に集まって、吸い込まれていくような。
お兄様の魔力は、瑞々しい若葉のようで、エネット様の魔力は芳しい白い花のようだ。
うっとりと魔力の動きを追いながら、ふと、自分の魔力はお兄様の魔力に似てるのかな?と思った。
フォーリア様達が「美味しそう」と表現されたのは、瑞々しいあの感じ?
改めて兄を見れば、魔力はもう、フプリーの目には映らない。額に描いたはずの魔法陣も消えていた。
いつもより少し痩せたように見える兄は、少しホッとしたような表情をしている。
住まいも無事に決まり、種苗祭が終わるまでの1ヶ月ほどは仕事が休みになるそうだ。領地持ちの、しかも次期領主の婚姻直後はだいたいそんなもので、領民への披露目のためにも種苗祭に合わせて婚姻することが多いのだそう。
たしかに、収穫祭に合わせちゃったら、王都と領地の両方でお祭りはあるし、学校の卒業の時期という事は、新人さんがいっぱいくるしで、めっちゃ忙しそうだよね。
でも、1ヶ月休むために、すごく頑張ったんだねぇ。
…というか、前後1ヶ月とかにすれば、休みを利用して住まいの準備とかも出来たのではないのかしら?
まぁ、お兄様は仕事ができるタイプのようだから、何かお考えがあるのだろうけれど。




