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フプリーは逃げ切りたい  作者: サンガツワサコ


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冬休み到来?

冬休みがやってくる。


新年の祝賀会に参加するお母様が領地からやってきて、私がその馬車で領地に帰るのだけれど、二人が揃うこのタイミングで歌劇を見に行く約束をしている。


小柄なフプリーではあるが、一応成長期。昨年のコートが少し窮屈になっているので、新しく新調したい。スポンサーがいる間にお買い物にもつきあってもらう予定だ。


学年が変わる収穫祭前の秋休みほどではないにしても、新年を挟む冬休み前も寮の中は慌ただしい。

いや、きっと、寮内だけではなく、世の中が全部慌ただしいのだろう。


新年の祝賀会のために人は移動するし、ドレスの注文もあって秋から冬は街中が賑やかになる。美味しいものが街に溢れるのもこの季節だ。


つくづく、先日の兄姉の食事会で純粋に食事を楽しめなかったのが悔やまれる。絶対に美味しかったはずなのに!


フォーリア様はイエン様と共に領地に戻るのだそう。


カルマン家のフプリーと同じ様に、ご両親が王家主催の祝賀会に出席するのと入れ替わりに領地の新年会にお二人が参加されるのだとか。

ブリア公にはお二人を含めて4人のお子様がいらっしゃるそうなのだけれど、12歳と9歳になられる下のお子様達は王宮に滞在されるとのこと。


え?12歳???


「弟のカミュは今年魔法学校に入学したよ」


…知らなかった。

ご挨拶した方がいいかな、と思っていたら、男子寮にいるから、機会があればね、と。


確かに学校に入れば兄弟といえども交流は多くなくなる。


むしろ、イエン様とフォーリア様がご一緒されることが多い方が不思議なくらいだ。


「兄はダリウスと仲が良いからね」


…そういうことか。


ミーレイ様はリヨール君と共に新年の祝賀会に参加予定だそうで、王都のタウンハウスに残るのだそう。リヨール君も元々ご実家が王都なので(領地は親戚に管理をお任せしているのだとか)いつもと変わりないとか。


ダリウス殿下は王族なだけあって、「色々面倒だー!」と毒付いていたけれど、幼少の頃からのことらしく、最低限ご自身の勤めは全うされる様だ。


レベッカやネリー、カーレは寄家の祝賀会に駆り出されるとかで、忙しくなるから、と早々と地元に戻って行った。

王都の郊外にご実家があるローザだけ、

「両親は祝賀会だけど、、私は何もなーい!」

というので、フプリーはローザをカルマン家の領地に誘ってみた。


因みに、寮住まいの気安いお友だち達のうち、レベッカとカーレには婚約者がいるが、ローザ、ネリーはフプリーと同じく婚約者は居ない。


ただ、ローザは弟がいる第一子なので、嫡子の嫁に!と引き合いは多いらしい。

「うちの娘に大家の嫁は無理!」

と、ご両親がブロックしてる気配で、たまに申し込みのあった方が自ら名乗って来て初めて縁談があったことを知るのだとか。


ローザ自身もマナーだとか義両親との関係とかを考えると王宮勤めの子爵家あたり…つまり今の家庭と同じ様な環境が良いと公言している。


一方でネリーは上昇思考だ。

推しはダリウス王子ではあるが流石にそこまでの玉の輿は狙っていない。


「男爵家は底辺だからね。絶対に嫌!同格で嫁に行って、女腹だったらどうするのよ。まぁ、カーレのお家みたいに家の存続に執着しないご家族であれば良いけどね。希望は伯爵家!でも、子爵家もアリ!騎士も良いよねー!」


…とのことだ。


因みに、カーレは男爵家の第一子で、妹と二人姉妹だが、祖父母の方針で「男児が生まれるまで!」をお母様は強いられることがなかった。カーレ自身は子爵家に嫁入りするし、国立に通っている妹さん(魔力は無いそう)は商家の息子さんと仲良くされているそうで、そこに嫁ぐだろう、と家族は思っているんだそう。魔力もないし、本人も貴族であろうがなかろうがこだわりはないのだろう。


母と二人で行く予定だったが、お暇だというローザも誘って3人で最近流行りの新作歌劇を観て、買い物に行く。


ローザのご両親は王宮勤めのため、新年の祝賀会を含む王宮のお仕事が忙しすぎて、家に戻りもしないそうで、弟たちも親戚が切り盛りしている領地の家に預けられるのだそう。


「私は向こうに行くたびに婚約者はどーのと言われるからいきたくないのよねー」


という会話が出たところで、フプリーはチラリと母を見る。


兄姉から、例の話は行ってない…みたいだ。

フプリーはホッとする。

色恋ごとが大好きな母が、黙っていられるはずがないもの。


今何を聞かれても、答えようがないしね。


王都で人気の仕立て屋さんは新年の祝賀会に向けてとても忙しそうにしていた。フプリーはオーダーメイドにはこだわりがないので、質の良いレディメイドを揃える店に立ち寄った。


「お嬢様は小柄でいらっしゃるけれど、お胸はおありなので、少し調整が必要ですね」


シゴデキ女史がメジャー片手に仰る。フプリーは自分の胸が好きではない。成長するなら、胸ではなくて背が欲しいのだ。背が伸びないのに、胸があってもちんちくりんじゃないの!


でも、本当のところ、コートを新調する理由も胸元が窮屈になったから。背が伸びたから、といえない悲しさよ…


コートの他にもいくらかの洋服を注文して、領地に出発する直前にコートだけは受け取れる様にした。


2日後にコートを受け取りつつ、母の見送りを受けて領地へ出発する。


見送る母が、一言。


「マーリエに宜しくね!」


え?

お姉様、領地に居るの??




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