婚約者事情
リヨール君曰く、魔石コースの男子はマニアックなことが多いのだそう。リヨール君のお兄様は昨年卒業されているが、やはりかなりのマニアで現在は魔石省にお勤めだとか。魔石コースは魔法陣コースに次いで王宮魔術師の輩出率が高く、お兄様も王宮魔術師から弟子入りの話が来たが、本人の希望で魔法石の発掘と流通の管理をする魔石省に行ったのだとか。
「メルト様も、その感じだと王宮魔術師からのスカウトがあるかもね。優秀だというお話も聞くし。優良物件じゃない?」
ガレ伯爵家嫡男で王宮魔術師候補…
「メルト様には何故婚約者がいないのかしら?」
「メルト様は、まぁ、マニアックすぎるからじゃない?魔石コースにいる女子は、ほぼ婚約者の話を理解するためにコース選択したって噂もあるよ」
え?!そうなの?
レベッカも?!
あとで聞いたら、本当にそうだった…
メルト様もだけど、では他のお二方は何故だろう?
嫡男ではないにしても、秀才ダニエル様はご両親も王宮魔術師でご本人も優秀。容姿だって清潔感もあるし整っていらっしゃる。
ヒュードル様は思わずフプリーがカッコイイ!と呟いちゃうくらいだし、剣技馬術も評価されているというし、ノルド辺境伯と言えば王国騎士団の総大将を務めていらっしゃる。ヒュードル様は大将軍の第二子とはいえご子息なのだ。
今まで良くぞまぁ、フリー物件でいてくれたものだ。
「ダニエル様は去年まで、とっても小柄だったの。婚約のお話があっても、立ち消えることが多かったそうよ」
「小柄だというだけで?」
「うーん、私にもよくわからないのだけど」
ミーレイ様が首を傾げる横で、リヨール君が口添えする。
「僕も小さかったからわかるよ。年下の子との縁談ならともかく、同年だとか歳上との縁談で自分より背が高い方が来たら萎縮しちゃう気持ち…」
…そういうものかなぁ。
「ええ?!うちだって、去年くらいまでは私の方が背が高かったじゃない?」
「ミーレイは僕を一度もバカにしたことないよね。子供の頃から」
「小さいだけでバカにされるの?」
ミーレイ様には意味がわからない、と首を傾げる。
だが、これについては、フプリーも大いに語りたい。
フプリーはまもなく15歳になろうとしているのに、ちっとも背が伸びなくて、みんなにお子様扱いされる。
その筆頭は兄姉たちであるが、多分、フォーリア様とダリウス殿下もきっとそう。
けれど、ミーレイ様はにっこり笑って仰った。
「フプリーは良いのよ。可愛いから」
…私は良くない!
「ヒュードル様は訓練優先で婚約は後回しみたいよ。縁談自体はしょっちゅう来てるみたいで、何度かお相手とお茶されたりしてたみたいだけど、最近は面倒臭いみたいでお断りしてるのですって」
ええ?!
それじゃあ、フプリーが申し込んでもお断りされるじゃないか!
「お茶に誘わなければ良いんじゃない?」
?それはどういう意味ですか、フォーリア様?
「一緒に遠乗りに行くとか、訓練をするとか?」
「…馬に乗れないし、訓練なんてできませんよ、私」
「参加しなくても、見てるだけでも良いのではない?寡黙な人とお茶をするって、なかなかの試練よ?」
ミーレイ様、確かに!!!
「だから、ヒュードル様と仲良くなりたければヒュードル様を邪魔しない様にそばに行けば良いのよ」
なるほど。
…ミーレイ様、本当に同じ14歳ですか?




