エルフ王国 - 21
読んでいただきありがとうございます。
日本語にはまだ不自然な部分があるかもしれません。
もし誤訳や不自然な表現などがありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
廊下の奥から、地鳴りのような音が響いた。
壁に隠されていた扉が、ゆっくりと開いていく。
その中から、シルフィーたちが姿を現した。
「急ごう。今すぐ玉座の間へ!」
だが、一歩踏み出そうとした、その瞬間――
「誰だ!?」
扉のすぐ外に、衛兵たちがいた。
「チッ……」
シルフィーは拳を握りしめる。
「見つかった……!」
衛兵たちは即座に彼らを取り囲んだ。
迷うことなく、ギルが前へ飛び出す。
*ドゴォン!*
盾が衛兵の一人を直撃し、彼の身体を吹き飛ばした。
「急げ! 玉座の間へ!」
一行は衛兵たちの包囲を突破し、そのまま走り出す。
「待て! 止まれ!」
衛兵たちが追いかけてくる。
一行は全速力で廊下を駆け抜けた。
一つの廊下を抜け、また別の廊下へ。
曲がれる場所はすべて利用し、追手を振り切ろうとする。
そして、ある角を曲がったところで、ヘレンが突然立ち止まった。
振り返り、杖を掲げる。
「アースウォール!」
地面が爆発するように盛り上がった。
土の壁が二人の間にそびえ立ち、追ってきた衛兵たちの進路を塞ぐ。
「今のうちに――」
そう言って走り出そうとした。
だが――
その先には、別の衛兵たちが立っていた。
すでに防御陣形を組んでいる。
完全に道を塞がれていた。
「チッ……」
ギルが一行の前へ出て、盾を構える。
シルフィーとトバリも武器を取り出し、再び戦闘態勢に入った。
その時、ヘレンがマナポーションを取り出す。
だが、蓋を開ける前にリッカが止めた。
「まだ飲むな」
リッカは王冠を掴み、ヘレンへ向かって投げる。
「持ってろ」
「え?」
ヘレンは慌てて王冠を受け取った。
「どうして?」
「お前、もうマナがあまり残ってないだろ? だったら、これをヴェインのところまで届けることに集中しろ。そっちのほうが重要だ」
「そうだ。リッカの言う通りだ」
ギルも続ける。
「ここは俺たちが何とかする。俺が道を開ける。その隙に玉座の間へ行け」
「それと、忘れないで」
シルフィーが矢を取り出し、衛兵たちへ狙いを定める。
「王冠は必ずヴェインに渡すのよ」
矢が放たれる。
*ガキィン!*
衛兵の一人が盾を構え、矢を弾いた。
その瞬間、陣形が動く。
複数の衛兵が前へ出て、剣を振り下ろした。
ギルが真正面から迎え撃つ。
*ガキィン!*
盾が迫る刃を受け止める。
炎に包まれた剣を握り、リッカが衛兵へ斬りかかった。
*ザンッ!*
衛兵の身体が地面へ崩れ落ちる。
続いてギルが踏み込み、盾を衛兵たちの陣形へ叩きつけた。
*ドゴォン!*
そのまま止まらない。
ハンマーを振り上げ――
*ドゴォン!*
横薙ぎの一撃で陣形を吹き飛ばした。
「ヘレン、今だ! 行け!」
「はい!」
ヘレンはすぐに彼らの横を駆け抜けた。
「止まれ!」
衛兵の一人が隊列を離れ、ヘレンを追いかける。
だが――
その背後には、すでにトバリがいた。
ヘレンに追いつくより先に、トバリの短剣が衛兵を捉えた。
ヘレンは振り返らない。
そのまま廊下を走り続ける。
一つ角を曲がる。
さらにもう一つ。
そして――
ついに玉座の間へ辿り着いた。
ヘレンは扉を掴み、力任せに押し開ける。
中にいた全員が、入口へ振り向いた。
そこには、息を切らしたヘレンが立っていた。
そして――
王冠を頭上へ掲げる。
「王冠、見つけたよ!」
「チッ……あの馬鹿な老人め」
カエルが即座にヘレンへ向かって駆け出した。
だが、アウエルがその前に立ちはだかる。
刀が閃く。
カエルは身体を捻り、刃をかわした。
同時に、アレンも二本の剣を手にヘレンへ向かって動く。
「バインド!」
アレンの進路上に金色の輪が現れる。
だが、アレンは難なくそれを避け、そのままヘレンへ向かって進み続ける。
「ヘレン! その王冠をヴェインに渡せ! 早く!」
グラムがアレンを追いながら叫ぶ。
ヘレンは王冠を投げた。
だが、アレンはヘレンへ向かって進み続け、二本の剣のうち一本を突き出す。
*ガキィン!*
間一髪。
グラムが駆け込み、攻撃を受け止めた。
剣が鎧へ深く食い込み、金属を突き破りそうになる。
だが、アレンは止まらない。
もう一本の剣をグラムへ向けて横薙ぎに振るう。
*ガキィン!*
グラムは斧の柄を持ち上げ、刃を受け止めた。
そのままアレンを押し返し、斧を振るう。
アレンは後方へ跳んだ。
その間も、王冠は宙を飛び続ける。
ヴェインが王冠へ向かって動く。
しかし、その前にエルリックが武器を掲げた。
武器が魔法の杖へと変形する。
そして、エルリックは落ち着いた様子で詠唱を始めた。
次の瞬間――
玉座の間全体が揺れた。
床に亀裂が走る。
「何が起きてるの!?」
ヘレンが叫ぶ。
ヴェインも動きを止め、周囲を見回した。
部屋の中央。
その床が、さらに大きくひび割れていく。
揺れが強くなる。
亀裂が広がる。
そして――
地面が持ち上がった。
何かが床の下から姿を現している。
さらに高く。
さらに高く。
そして――
巨大な何かが地面から這い出してきた。
ゴーレム。
その巨体は部屋にいる全員を圧倒するほど巨大で、頭は天井に届きそうなほど高い。
全身が巨大な岩石で作られている。
突然の出現に、全員の動きが乱れた。
その隙に、王冠がゴーレムの足元へ落ちる。
ゴーレムが巨大な拳を握りしめる。
そして、最も近くにいた者――アウエルへ向かって拳を振り下ろした。
アウエルは直前で横へ跳ぶ。
*ドゴォォン!*
拳が床を叩きつける。
衝撃が部屋全体を揺らした。
全員がバランスを崩す。
ヴェインはすぐに立ち上がり、王冠へ向かって走り出した。
だが、エルリックがすでに動いていた。
武器を槍へと変形させ、ヴェインへ突きを繰り出す。
ヴェインは身体を捻り、紙一重で槍をかわす。
そのまま短剣を振るう。
エルリックは槍の柄で攻撃を受け止め、ヴェインを蹴り飛ばした。
追撃しようとした、その時――
一本の矢がエルリックの頭へ飛んでくる。
エルリックは頭を傾ける。
矢がすぐ横を通り過ぎた。
「チッ……」
アシュリーはすでに次の矢を番え、弓を構えていた。
その近くでは、グラムとヘレンもゴーレムの攻撃から立ち直ろうとしていた。
そこへアレンが二本の剣を手に突進してくる。
*ガキィン!*
誰かがその攻撃を防いだ。
ギルだった。
間一髪で盾を構え、攻撃を受け止める。
続いてリッカが踏み込み、炎を纏った剣をアレンへ振るう。
アレンは横へ跳ぶ。
さらに一本の矢が飛んできた。
アレンは後方へ跳び、それをかわした。
そこへシルフィーが玉座の間へ入り、すぐにギルの背後へ移動する。
リッカは部屋の中央に立つ巨大なゴーレムを見上げた。
「ちょっと待って……またゴーレムと戦わなきゃいけないの?」
グラムがリッカを見る。
「待て。どういう意味だ?」
「うん。王冠を見つける前にも、ゴーレムと戦ったんだよ」
ヘレンが説明する。
リッカは周囲を見回した。
「待て。じゃあ、王冠は今どこにある?」
「そこ」
ヘレンが指を差す。
王冠は、ゴーレムの足元に落ちていた。
「はぁ!? なんであんなところに!?」
「いや、俺はヴェインに渡そうとしただけなんだけど……」
「お前たち、喧嘩は後だ!」
グラムが二人を止める。
「ヘレン、マナはどれくらい残ってる?」
「……あまりない」
ヘレンはマナポーションを取り出し、最後の一本を飲み干す。
グラムはリッカを見る。
「リッカ、こいつは俺たちで抑える」
そして巨大なゴーレムを指差す。
「ヘレンとギルはあのゴーレムを止めろ」
「シルフィーは王冠を取って、ヴェインのところまで届けろ」
ヘレンは眉をひそめた。
「だから、もうマナがほとんど残ってないって言ったでしょ。あんなの、どうやって倒すの?」
「倒す必要はない」
グラムが斧を強く握り直す。
「ヴェインが王冠を手にするまで、足止めするだけだ。王冠さえ渡れば、この戦いも終わるはずだ」
全員が頷いた。
そして、すぐにグラムの指示通りに動き始めた。
***
全員がゴーレムの攻撃から立て直している、その隙に――
カエルが突然、王冠へ向かって駆け出した。
誰よりも早く王冠へ辿り着き、地面から拾い上げる。
「へっ……取ったぞ」
だが――
背後に何かを感じた。
カエルが素早く振り返る。
そこには、すでにトバリがいた。
短剣がカエルへ向かって振るわれる。
カエルは紙一重で刃をかわす。
トバリは一切の隙を与えない。
すぐさま二撃目を繰り出す。
カエルは後退しようとする。
だが、足元が崩れた。
「なっ――」
カエルが転倒する。
その手から王冠が滑り落ちた。
カエルはすぐに身体を起こし、王冠を掴もうとする。
だが――
すでにトバリが王冠を持っていた。
「チッ……エルリック!」
その時――
ゴーレムが足を地面へ叩きつけた。
*ドゴォン!*
再び部屋全体が揺れ、全員がバランスを崩す。
ヴェインのもとへ走っていたトバリも転倒し、手から王冠を落とした。
*チィン!*
「そこか!」
カエルが王冠へ向かって駆け、拾おうとする。
だが――
その前に一本の矢が飛んできた。
カエルは矢が当たる直前で足を止める。
その隙にシルフィーが横を駆け抜け、王冠を掴んだ。
カエルが即座に振り返る。
そして、凄まじい速度でシルフィーへ突進した。
刃が彼女へ向かって横薙ぎに振るわれる。
シルフィーは短剣を構える。
だが、間に合わない。
*ガキィン!*
アウエルが二人の間へ現れ、攻撃を受け止めた。
そのままカエルを蹴り飛ばす。
「何してる! 早く王冠を!」
「チッ……分かってる!」
シルフィーは王冠を抱えたまま走り出す。
その間にアウエルもカエルへ向かって駆け出した。
***
一方、ゴーレムの意識が王冠へ向いた。
巨大な手がゆっくりと下へ伸びてくる。
「アースミサイル!」
*ドゴォン!*
土のミサイルがゴーレムの手へ直撃し、その軌道をわずかに逸らした。
ゴーレムは王冠から意識を逸らし、ヘレンへ向き直る。
巨大な手が彼女へ向かって振り下ろされた。
「フレイムスナイプ!」
圧縮された炎が凄まじい速度でゴーレムへ直撃する。
だが――
ゴーレムはほとんど反応しなかった。
巨大な拳はそのままヘレンへ迫る。
「パーフェクトウォール!」
*ドゴォン!*
ギルがヘレンの前へ飛び出す。
盾が拳を受け止めた。
ヘレンはすぐにその場から離れる。
ギルはハンマーを振り上げ、ゴーレムの手へ叩きつけた。
*ドゴォン!*
衝撃で手がわずかに後退する。
だが――
ゴーレムはほとんど動かなかった。
以前戦ったゴーレムよりも、遥かに巨大で、遥かに強い。
***
その反対側では、グラムがアレンへ向かって斧を振るう。
*ガキィン!*
アレンは二本の剣を交差させ、斧を受け止めた。
そこへリッカが入り込み、剣を振るう。
だが、アレンは再び身体を捻って攻撃をかわす。
リッカは止まらない。
何度も剣を振るい続ける。
しかし、アレンはそのすべてを防いでいく。
*ドゴォン!*
突然、グラムが身体ごとアレンへぶつかり、彼を押し飛ばした。
リッカとグラムは、再び攻撃の構えを取る。
その時――
アレンが何かをした。
根が伸びる。
そして――
もう一体の木の分身が現れた。
二人のアレンが、同時に攻撃を仕掛ける。
***
その頃、アシュリーはエルリックへ向けて矢を放った。
「リコシェットアロー!」
矢が部屋中を何度も跳ね返り、軌道を変えながら複数の方向からエルリックへ迫る。
*ガキィン! ガキィン! ガキィン!*
だが、エルリックは盾ですべての矢を防いだ。
「エクスプロード!」
矢が光り始める。
しかし――
エルリックは爆発するより先に盾を投げ捨てた。
*ドォン!*
矢は彼から離れた場所で爆発し、ダメージを与えることはなかった。
その隙をヴェインが狙う。
一気に踏み込み、短剣をエルリックへ突き出した。
エルリックはかわし、槍で反撃する。
ヴェインは身体を捻って攻撃をかわし、すぐさま短剣を振り返す。
エルリックの槍が剣へと変形した。
*ガキィン!*
二人の武器が激しくぶつかり合う。
だが、エルリックは脚でヴェインを蹴り飛ばした。
「パワーショット!」
そこへ矢が飛んでくる。
エルリックは武器を盾へと変形させ、矢を防いだ。
衝撃で少しだけ後退する。
だが、エルリックの視線はシルフィーへ向いていた。
彼女は王冠へ向かって走っている。
もうすぐそこまで迫っていた。
その時――
エルリックの剣が再び変形する。
槍へ。
エルリックはそれを投げ放った。
「シルフィー、危ない!」
ヴェインが叫ぶ。
シルフィーは足を止めた。
槍が彼女のすぐ横を通り過ぎ、地面へ突き刺さる。
あと少し避けるのが遅ければ、身体を貫かれていた。
ヴェインがエルリックへ駆け寄り、短剣を振るう。
だが――
ヴェインが気づかないうちに、エルリックの腕にはロープが巻きついていた。
そのロープがヴェインを引き寄せる。
槍のもとへ。
エルリックは槍へ辿り着くと、地面から引き抜く。
そして、シルフィーへ向かって振り下ろした。
シルフィーは身をかわす。
あと少しで直撃するところだった。
だが、エルリックは彼女を追わない。
彼の視線は王冠だけに向けられていた。
一気に駆け出す。
そして――
王冠を掴んだ。
その指が王冠に触れた瞬間。
エルリックは背後に気配を感じる。
振り返る。
そこにはトバリ。
短剣がエルリックへ向かって突き出される。
エルリックは横へ身体をずらす。
槍を振るい、トバリを狙う。
トバリはかわし、反撃する。
*ガキィン!*
短剣がエルリックの胸へ叩き込まれた。
鎧が衝撃を受け止める。
だが、その勢いまでは殺しきれず、エルリックの身体がよろめいた。
そして――
倒れる。
トバリは王冠を奪い取り、ヴェインへ向かって投げた。
「ヴェイン!」
王冠が宙を飛び、ヴェインへ向かっていく。
エルリックはすぐに身体を起こした。
槍が閃く。
*ザンッ!*
槍がトバリの腕を捉える。
だが、傷を負わせるには至らない。
エルリックはそのままトバリを蹴り飛ばし、槍を弓へと変形させた。
矢を番え、王冠へ向かって放つ。
矢が空中の王冠を捉えた。
王冠が天井へと縫い留められる。
その瞬間、背後から矢が飛んでくる。
エルリックはそれに気づき、武器を盾へと変形させる。
*ガキィン!*
さらに攻撃が続く。
シルフィーが短剣を振るった。
エルリックはそれを軽々と盾で受け止める。
そして、上を見上げた。
天井に刺さった矢から、王冠がゆっくりと滑り始めている。
同時に、ヴェインもすでに王冠へ向かって走っていた。
エルリックはシルフィーを押しのけ、ヴェインを追う。
だが、シルフィーが振り返り、トバリを見る。
「ねえ、大丈夫!?」
「俺のことは気にするな」
トバリは苦しそうに身体を起こす。
「王冠をヴェインに届けろ」
シルフィーは頷き、王冠を取りに走る。
ヴェインはエルリックに行く手を阻まれていた。
エルリックは盾で押し続け、王冠からヴェインを遠ざけようとする。
その両側から、矢が飛んできた。
アシュリーとシルフィーだ。
エルリックはヴェインへの圧力を維持したまま、身体を捻って二本の矢をかわす。
頭上では、王冠がさらに滑り落ちていく。
そしてついに――
矢が王冠を支えきれなくなった。
王冠が落ちる。
「!」
シルフィーがすぐさま駆け出す。
エルリックはそれを許すつもりはなかった。
盾を槍へと変形させ、投げようと構える。
だが――
その前にヴェインが攻撃を仕掛けた。
何度もエルリックへ斬りかかる。
エルリックはヴェインへの対応を余儀なくされ、シルフィーを止めることができない。
その時――
ゴーレムが動いた。
巨大な腕を後方へ引く。
拳が、力を蓄えるように震え始めた。
そして同じ瞬間――
シルフィーの手が王冠へ届いた。
彼女はそれを掴んだ。
だが――
何かがおかしい。
王冠が、彼女の手の中で光り始めた。
シルフィーは驚いたように王冠を見つめる。
「こ、これ……何が起きてるの……?」




