エルフ王国 - 20
読んでいただきありがとうございます。
日本語にはまだ不自然な部分があるかもしれません。
もし誤訳や不自然な表現などがありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
王宮の玉座の間では、戦いの火蓋が切って落とされたばかりだった。
カエルが、凄まじい速度でアウエルへと駆け出す。
アウエルは腰の鞘に片手を添え、低く身構えた。
待つ。
カエルが目前まで迫った、その瞬間。
突然、カエルが不敵に笑い、突進を止めた。
次の瞬間、鋭い茨がいくつもアウエルへと飛んでくる。
避ける暇はない。
アウエルは刀を抜き放ち、それらを弾き飛ばした。
*ガキィン!*
だが、同時にカエルはすでに目の前にいた。
刃がアウエルの首を狙って横薙ぎに振るわれる。
アウエルは抜刀の勢いをそのまま利用し、刀を滑らせて攻撃を受け流した。
一瞬、驚きが走る。
今のは、ただのフェイントだった。
カエルはその場で身体を回転させ、アウエルの横へと移動すると、刃を突き出す。
アウエルは刀の向きを変え、再び攻撃を受け止めた。
「チッ……」
カエルは後方へ跳び、二人の間に距離を作る。
「なかなかやるな」
アウエルは刀を鞘に収め、再び構えた。
カエルの表情が、さらに険しくなる。
「身体強化・敏捷!」
二人は同じ強化魔法を発動し、再び激しくぶつかり合った。
***
玉座の間の反対側では、アレンの木の分身がエリンへと突撃していた。
「アースウォール!」
エリンが魔法を唱える。
地面から壁がせり上がり、二人の間を隔てた。
だが、分身は壁を回り込み、その横から剣を振り下ろす。
「ライトニングスパーク!」
エリンの杖の先から雷が放たれる。
分身は盾を動かし、攻撃を防いだ。
そして、すぐさま剣を突き出して反撃する。
エリンは刃の下を屈んで潜り抜け、再び杖を掲げた。
「アースウォール!」
今度は分身の真下から土壁が噴き出す。
突然の衝撃に押され、分身が後方へと吹き飛ばされた。
エリンは腰の小さな矢筒へ手を伸ばし、二本の矢を取り出す。
「リコシェットショット!」
二本の矢を放つ。
矢はそれぞれ別方向へ飛んだかと思うと、空中で突然軌道を変えた。
見えない角度を跳ね返るようにして方向を変え、左右から分身へと迫る。
分身は盾で片方の矢を防ぐ。
だが、もう一本は反対側の腕へと突き刺さった。
矢そのものによるダメージは大きくない。
しかし――
「エクスプロード!」
矢が光り始める。
そして――
*ドォン!*
二本の矢が同時に爆発した。
爆風が分身の両腕を吹き飛ばし、完全に無防備な状態にする。
エリンはすでに杖を掲げていた。
杖の先で魔法陣が輝く。
「フレイムスナイプ!」
小さな火球が、凄まじい速度で飛んでいく。
盾を失った分身には、防ぐ術がない。
*ドォン!*
火球が分身の上半身を吹き飛ばした。
残ったのは下半身だけ。
だが――
奇妙なことが起きた。
下半身は倒れず、その場に立ち続けている。
焼け焦げた木や根が、身体から剥がれ落ちていく。
そして残った部分から新たな根が伸び、急速に絡み合っていく。
失われた胴体を再び作り始めたのだ。
数秒もしないうちに、分身は完全に再生していた。
まるで何事もなかったかのように。
「えっ……!?」
アシュリーが驚く。
次の瞬間、分身がアシュリーへと一直線に駆け出した。
迫り来る分身を見て、アシュリーは背中の矢筒から一本の矢を取り出す。
「パワーショット!」
強力な矢が分身へと飛んでいく。
分身はそれを盾で受け止めた。
だが、その凄まじい威力によって後方へと押し戻される。
「フレイムスナイプ!」
さらに火球が凄まじい速度で飛んでくる。
*ドォン!*
分身は間一髪で盾を掲げた。
直撃は防いだものの、衝撃によって盾が破壊され、それを持っていた腕まで吹き飛ばされる。
再び、焼け焦げた木と根が剥がれ落ちる。
そして、ゆっくりと新たな腕が再生していく。
「チッ……どうやって倒せばいいんだ、こいつ……」
***
その近くでは、アレンがグラムへ向かって剣を振るっていた。
グラムは横へ身体をずらして攻撃をかわし、斧を振り上げる。
「筋力強化!」
筋肉が膨れ上がる。
そして、凄まじい力で斧を振り下ろした。
アレンは盾を構える。
「パーフェクトウォール!」
*ドゴォン!*
斧が盾へと叩きつけられる。
アレンはその場を動かず、攻撃を受け止めた。
「チッ……」
グラムは斧を引き戻すと、すぐさま横薙ぎに振るう。
「ウォリアーズマイト!」
斧が横からアレンへと襲いかかる。
アレンは再び盾を動かし、攻撃を防ぐ。
「パーフェクトウォール!」
アレンは難なく攻撃を受け止め、そのまま剣を構えた。
「ウォリアーズマイト!」
剣がグラムの身体へと振り下ろされる。
グラムは直前で身体を強化した。
「身体強化・筋力!」
*ドゴォン!*
剣が鎧へと叩きつけられ、グラムの身体が後方へ押し込まれる。
盾を持っていないため、攻撃を完全に防ぐことはできない。
だが、分厚い鎧が衝撃の大部分を受け止めた。
それでも終わらない。
アレンが盾を構えたまま突進する。
*ドゴォン!*
盾がグラムの胸へと叩き込まれ、グラムはよろめきながら後退する。
アレンは追撃を続け、今度はグラムの頭へ向けて剣を突き出した。
グラムはすぐに体勢を立て直し、間一髪で身体をずらす。
剣が肩の鎧をかすめた。
グラムはすぐさま踏み込み、身体ごとアレンへぶつかる。
アレンが押し戻される。
そのままグラムは強烈な斧の一撃を繰り出した。
だが、アレンは間一髪で盾を構える。
「パーフェクトウォール!」
*ドゴォン!*
斧の一撃を完全に受け止める。
アレンは剣を振り上げ、斬り下ろした。
グラムは斧の柄を身体の前に立て、攻撃を防ぐ。
そして片足を上げ――
蹴り飛ばした。
***
玉座の間の反対側では、ヴェインとエルリックが激しくぶつかり合っていた。
ヴェインが短剣を振るう。
だが、エルリックは軽々と横へ避けた。
次の瞬間、彼の手に矢が現れる。
ヴェインは身体を捻り、飛んできた矢をかわした。
「ルーツ!」
床から根が飛び出し、エルリックへ向かって鞭のように襲いかかる。
*ザンッ!*
その瞬間、エルリックの弓が剣へと変形した。
迫る根を切り裂く。
そして、そのまま反撃へ移った。
ヴェインは後方へ跳び、二人の間に距離を作る。
「ソーンズ!」
地面から根が次々と飛び出し、鋭い棘を一斉に放つ。
再び、エルリックの剣が変形する。
今度は盾へ。
飛来する棘を盾で防ぐ。
そして盾が再び変形した。
今度は――槍。
エルリックが前へ踏み込む。
槍を突き出し、何度も振るう。
ヴェインは後退を余儀なくされる。
「ルーツ!」
さらにヴェインが魔法を放つ。
エルリックの足元から根が伸び、脚へ絡みつこうとする。
だが、エルリックは捕まるよりも早く、すべてを斬り裂いた。
槍が再び変形する。
今度は巨大なハンマーへ。
エルリックが空中へ跳び上がり、ヴェインへ向けて振り下ろす。
「アースウォール!」
地面がせり上がり、壁となる。
*ドゴォン!*
ハンマーが壁へ叩きつけられた。
ヴェインは止まらない。
続けて魔法を放つ。
「アーススパイク!」
壁から鋭い棘が飛び出し、エルリックへ向かって放たれる。
だが、ハンマーは間一髪で盾へと変形した。
飛来する攻撃を防ぐ。
エルリックは後方へ跳び、二人の間に距離を作った。
玉座の間の両端。
二人は互いを睨み合った。
***
その頃、エリンとアシュリーは依然としてアレンの木の分身と戦い続けていた。
どれだけダメージを与えても、分身は再生する。
焼け落ちた枝も、砕け散った木片も、新たな成長によって次々と置き換えられていく。
*チッ……*
*どうやって倒せばいいの?*
アシュリーは分身を注意深く観察した。
*ずっと再生してる……*
*それに、魔法矢も残り少ない……*
突然、分身がアシュリーへ向かって突進する。
アシュリーは後方へ跳び、腰の矢筒へ手を伸ばした。
空中にいるまま矢を放つ。
矢は分身が横へ避けたことで、地面へ突き刺さった。
「バインド!」
矢が光り始める。
その周囲に金色の輪が現れ、急速に広がって分身を包み込もうとする。
だが、分身は後方へ跳び、輪から逃れた。
そこへ、複数の火球が飛んでくる。
分身は盾を構えてすべてを防いだ。
そして、ダメージを受けた盾を投げ捨てる。
すると腕から新たな根が伸び、再び盾を形作っていく。
アシュリーは目を細めた。
何かがおかしい。
*……盾が小さくなってる?*
アシュリーは素早く腰の矢筒から、もう一本の魔法矢を取り出した。
「リコシェットショット!」
矢が空中を何度も跳ね返り、そのたびに方向を変える。
分身はそれを避けようとする。
だが、矢は何度も軌道を変え続け――
盾を持っている腕へと突き刺さった。
「エクスプロード!」
*ドォン!*
爆発によって分身の腕が吹き飛ぶ。
またしても、切断面から根が伸び始める。
新たな手が形成される。
そして――
新しい盾が作られた。
アシュリーはそれを見つめる。
今度の盾は、明らかに以前より小さい。
「やっぱり……。エリン、あれを燃やし続けて!」
エリンは頷き、杖を掲げる。
「ファイアボール!」
複数の火球が分身へ向かって飛んでいく。
分身は次々と身体を動かし、すべての攻撃をかわす。
「パワーショット!」
分身は避けきれなかった。
矢が剣を持っている腕へ突き刺さり、その腕を吹き飛ばす。
分身はすぐさま再生を始めた。
アシュリーは笑みを浮かべる。
「少しずつ削れてる」
すると分身が突然、アシュリーへと突進した。
「アースウォール!」
エリンが再び魔法を放つ。
地面がせり上がり、アシュリーと分身の間を隔てる。
「ファイアボール!」
さらに火球が一斉に飛んでいく。
分身はそのすべてをかわした。
だが――
アシュリーはすでに分身の背後へ回っていた。
そして矢を放つ。
*ヒュッ!*
矢が分身の背中へ突き刺さった。
「バインド!」
矢の周囲に金色の輪が現れ、急速に広がっていく。
今度は分身も逃げられない。
その場に拘束された。
「エリン、今!」
アシュリーが分身から離れる。
その間に、エリンが魔法を放つ。
「インシネレート!」
杖から凄まじい炎が噴き出し、木の怪物を包み込んだ。
分身は拘束を破ろうともがく。
だが、その身体は次々と焼け落ちていく。
やがて、残ったのは下半身だけになった。
根が再生を試みる。
しかし――
その速度は明らかに遅くなっていた。
ずっと遅い。
「ファイアボール!」
エリンが何度も火球を放つ。
残った根が炎に包まれる。
一本、また一本と焼け落ちていく。
そしてついに――
再生が止まった。
分身は灰の山となって崩れ落ちた。
アシュリーはその灰を見下ろす。
「ふぅ……やっと倒せた。何回も再生してたら、さすがに再生できなくなるんだね」
そしてエリンを見る。
「ねえ、まだ戦えるよね?」
「う、うん」
エリンが答える。
「よし。他のみんなを助けよう」
***
その頃、アウエルとカエルは凄まじい速度で戦い続けていた。
互いの武器が何度もぶつかり合う。
カエルがアウエルへと駆け、刃を突き出す。
アウエルは受け止めようと構える。
カエルが距離を詰める。
そして――
突然、足を止めて身体を回転させた。
片脚を上げる。
そして、アウエルを蹴り飛ばした。
*ドゴォン!*
予想していなかった一撃。
アウエルはまともに蹴りを受け、後方へ吹き飛ばされる。
だが、カエルは止まらない。
そのまま再び突進する。
アウエルは刀で受け止めた。
その瞬間、複数の火球が二人へ向かって飛んでくる。
それを見たカエルは、すぐさま後方へ跳んで攻撃をかわした。
しかし、アウエルは動かなかった。
飛んできた火球を刀で受け流し、そのまま刀を鞘へ収める。
そして――
アウエルがカエルへ向かって駆け出す。
燃え上がる刀を抜き放ち、空を斬る。
すると、複数の炎の斬撃が生まれ、カエルへと飛んでいった。
「何!?」
カエルは身体を捻り、紙一重で一つずつかわしていく。
だが――
アウエルはすでに目の前まで迫っていた。
燃え上がる刀を振るう。
カエルは横へ移動する。
刀は身体を捉えなかった。
しかし、ローブの一部を切り裂いた。
カエルはすぐさま刃を振るい、反撃する。
アウエルは軽く後ろへ下がり、二人の間に距離を作った。
「アウエル、大丈夫?」
エリンが声をかけ、彼の背後へ立つ。
「問題ない。こいつは俺に任せて、グラムを助けてくれ」
アウエルは刀を鞘に収めながら、淡々と答えた。
エリンは頷き、すぐにグラムの援護へ向かった。
「へぇ……ずいぶん大口を叩くじゃないか」
カエルはゆっくりと身体を低くする。
「エクストリーム・身体強化・敏捷!」
次の瞬間――
カエルの姿が消えた。
一瞬でアウエルの目の前に現れ、刃を振るう。
アウエルは刀を抜いて防ぐ。
だが――
突然、カエルの姿が再び消えた。
アウエルの背後に現れる。
そして刃を突き出した。
アウエルは身体を捻る。
*ズブッ!*
カエルの動きがあまりにも速く、アウエルは避けきれなかった。
刃が身体を貫く。
だが、カエルは再び消えた。
今度は横へ現れ、刃を振るう。
アウエルは身体を動かし、刀を掲げて防ぐ。
だが、またしてもカエルが消えた。
そして背後に現れる。
*ズブッ!*
背中から刃が突き刺さる。
カエルは攻撃を続ける。
別の角度から刃を振るう。
*ガキィン!*
今度はアウエルが刀で受け止めた。
「チッ……」
カエルは後方へ跳ぶ。
そして――
再び姿を消した。
アウエルは刀を鞘に収め、構えを取る。
数秒間。
カエルの姿はどこにも見えない。
アウエルは完全に静止していた。
そして――
目を閉じる。
背後から、かすかな物音。
カエルが再び姿を現した。
刃がアウエルの背中へ向かって振り抜かれる。
しかし、アウエルは動かなかった。
ゆっくりと息を吸う。
そして――
刀を抜き放つ。
その姿が消えた。
カエルの刃は空を切る。
「何!?」
次の瞬間。
アウエルがカエルの背後に現れた。
そして刀を鞘へ収める。
*ザンッ!*
遅れて斬撃が現れ、カエルの胸を切り裂いた。
血が傷口から飛び散る。
「どうして……!?」
カエルは信じられないものを見るようにアウエルを見つめる。
「どうして俺の動きが見えた……?」
傷を負いながらも、二人は立っていた。
そして再び、互いに刃を構える。
***
その反対側では、アレンがグラムへ向かって突進し、剣を振るっていた。
グラムは攻撃をかわし、後方へ跳ぶ。
「バインド!」
複数の金色の輪がアレンの周囲に現れる。
輪が急速に縮んでいく。
だが、アレンはその隙間をすり抜け、拘束から逃れた。
そのままグラムが突進し、斧を振り下ろす。
「パーフェクトウォール!」
*ドゴォン!*
アレンは盾で攻撃を受け止める。
グラムはすぐさま後方へ跳ぶ。
「インシネレート!」
エリンが凄まじい炎を放つ。
アレンは盾を掲げ、炎を防いだ。
その隙に、グラムがアレンの横へ回り込む。
側面から攻撃する。
「チッ……マジックバリア!」
魔法の盾が現れ、炎を防ぐ。
同時にアレンも盾をグラムへ向ける。
*ドゴォン!*
グラムの斧が盾へ叩きつけられた。
衝撃によって盾に亀裂が走る。
それでもグラムは止まらない。
再び斧を振るう。
アレンも盾を構え直し、攻撃を受け止める。
*ドゴォン!*
*バキィッ!*
盾が砕け散った。
アレンはすぐさま後方へ跳ぶ。
エリンも炎を止め、グラムの背後へ移動する。
「チッ……鬱陶しいな」
すると、アレンの手を覆うように根が伸びていく。
だが、今度は盾を作らなかった。
根は新たな剣を形作った。
***
一方、エルリックがヴェインへ向かって突進し、巨大な斧を振り下ろす。
*ドゴォン!*
ヴェインは間一髪でかわした。
斧の一撃が床を破壊する。
まともに受けていれば、命を奪われていた。
エルリックは斧を槍へと変形させ、そのままヴェインへ突進する。
その瞬間――
一本の矢が飛んできた。
エルリックは足を止め、身体を横へ傾ける。
矢が脇を通り過ぎた。
そしてすぐに後方へ跳ぶ。
ヴェインの隣にアシュリーが現れた。
すでに弓を構えている。
二対一。
エルリックの槍が剣と盾へと変形する。
ヴェインとアシュリーも攻撃の構えを取った。
だが――
二人が動くより先に、玉座の間の扉が突然開いた。
全員が入口へ振り向く。
そこに立っていたのは、息を切らしたヘレンだった。
彼女の手には何かが握られている。
光を放つもの。
黄金色に輝くもの。
――王冠。
ヘレンはそれを高く掲げた。
「王冠、見つけたよ!」




