魔法 - 2
読んでいただきありがとうございます。
日本語にはまだ不自然な部分があるかもしれません。
もし誤訳や不自然な表現などがありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
アウエルは腰を落とえた。
その正面では、エリンが杖を構えていた。
次の瞬間、アウエルが動いた。
大きく弧を描くように、エリンの周囲を駆ける。
「ファイアボール」
穏やかな声と共に火球が放たれた。
だがアウエルは最小限の動きでそれをかわす。
足をほとんど動かしていない。
「集中しろ」
そう言いながら、アウエルは真っ直ぐエリンへ突っ込んだ。
「ひゃっ!?」
驚いたエリンは慌てて次の火球を放つ。
しかし、それも簡単に回避される。
気づけばアウエルは目の前にいた。
コンッ。
指で額を軽く弾かれる。
「あうっ!」
エリンが思わず身を引く。
アウエルは後ろへ跳びながら言った。
「狙いに集中しろ。躊躇するな」
「で、でも……」
「俺に当てるのが怖いなら上達しない」
「は、はい……!」
「もう一回だ」
そう言うと、アウエルは再び駆け出した。
今度も円を描くように動く。
エリンは落ち着いて杖を向けた。
「ファイアボール」
先ほどより正確な軌道。
アウエルは大半を回避し、残りは刀で受け流した。
そして立ち止まる。
鞘に蓄積された力を解放すると、炎が空へ噴き上がった。
再び納刀。
そのまま一気に踏み込む。
「ライトニングボルト」
稲妻が走る。
だがアウエルは刀でそれを受け止めた。
「ウォーターショット」
続けて高圧の水流。
アウエルは横へ飛んで回避する。
そのまま前進。
「ウィンドゲイル」
突風が炸裂した。
アウエルの身体が押し戻される。
「フリーズ」
その詠唱を聞いた瞬間、アウエルは足元を見た。
先ほどの水流。
地面に残った水。
気付くのが遅かった。
瞬時に氷が広がり、両足を拘束する。
直後、
バチッ!!
雷撃が襲った。
アウエルは咄嗟に刀を構え、辛うじて防ぐ。
まず鞘に蓄積された力を空へ放出する。
続いて鞘を叩きつけ、氷を砕いた。
拘束から脱出し、再び距離を詰める。
その瞬間。
「アースウォール」
大地が震えた。
二人の間に土壁がせり上がる。
「ちっ」
アウエルは舌打ちしながら横へ回り込む。
指先はすでに額を弾く準備をしていた。
しかし。
エリンは待っていた。
杖を向ける。
「ファイアボール」
至近距離。
アウエルは二発を防ぐ。
だが三発目が直撃した。
ドンッ!!
爆炎がアウエルを吹き飛ばす。
「アウエル!」
エリンが慌てて駆け寄った。
「だ、大丈夫ですか!?」
アウエルは水魔法で火を消す。
「問題ない」
「ご、ごめんなさい……!」
「いや、今のは良かった」
エリンはすぐに治癒魔法をかける。
アウエルは内心で評価した。
かなり良くなっている。
先を読んで行動できるようになってきた。
だがまだ足りない。
ブラッドムーンウルフのような相手には通用しない。
風では押し返せない。
氷でも拘束できない。
まずは命中精度を上げる方が先だ。
「まだマナは残ってるか?」
「ま、まだたくさんあります」
「なら続けるか?」
「はい!」
二人は再び訓練を始めた。
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太陽が真上に昇った頃。
ぐぅぅぅ……
突然、エリンの腹が鳴った。
「あっ……!」
顔を真っ赤にしながらお腹を押さえる。
「ご、ごめんなさい……」
「別にいい」
アウエルも息を吐いた。
「今日はここまでにしよう。昼時だ」
「は、はい」
二人は街へ戻り始めた。
歩きながらアウエルが言う。
「思ったより上達が早いな」
「そ、そんなことないです……」
「いや、本当だ」
アウエルは横目で彼女を見る。
「狙いも良くなってるし、あれだけ魔法を使ってまだ余裕そうだ」
少し間を置く。
「本当にどれだけマナがあるんだ?」
「わ、私も分からないです。でも村では特別だって言われてました」
「両親から魔法を教わったんだよな」
「はい」
「それだけ才能があるのに、どうして上位魔法を教わらなかった?」
エリンは首を傾げる。
「高位魔法は必要ないって言われました。その代わり別の魔法を……」
アウエルは眉をひそめた。
「間違ってるわけじゃない」
そう認める。
「お前のマナ量なら低位魔法を連発できる。でも狼との戦いで分かっただろ」
「……はい」
「低位魔法は強敵相手だと限界がある」
エリンは静かに頷いた。
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やがて二人は市場へ入る。
今日も人で溢れていた。
屋台。
商人。
冒険者向け装備店。
活気に満ちている。
「何か食うか?」
アウエルが尋ねる。
「パンがいいです」
「俺は後で食べる」
市場を歩いていると、
ドン。
エリンが誰かにぶつかった。
「あっ!」
相手はよろめき、杖を落とす。
「す、すみません!」
エリンが慌てて支える。
アウエルは落ちた杖を拾った。
「これ、あんたのか?」
男は閉じた両目のまま手を伸ばす。
杖を受け取り、
「ああ、ありがとう」
と微笑んだ。
「ほ、本当にごめんなさい……!」
エリンは何度も頭を下げる。
「気にしなくていい」
男は穏やかに笑った。
「こういうことには慣れているからね」
すると再び、
ぐぅぅぅ……
エリンの腹が鳴る。
「うぅぅ……」
恥ずかしさで顔を覆う。
男はくすりと笑った。
「お腹が空いているようだね。良かったら家で何か食べていかないか?」
「い、いえ! そんな!」
「構わないさ。久しぶりに客人を迎えたい気分なんだ」
エリンは困ってアウエルを見る。
アウエルは何も言わず頷いた。
「……お、お邪魔します」
「決まりだね」
男は杖で地面を軽く叩きながら歩き出した。
---
歩きながら男が言う。
「そういえば自己紹介がまだだったね。私はロランだ」
「エ、エリンです」
「アウエル」
「ふふ、良い名前だ」
ロランは笑う。
「冒険者になってどれくらいかな?」
エリンが首を傾げた。
「どうして私たちが冒険者だって分かったんですか?」
「アウエルの剣が鳴っている」
ロランは当然のように答える。
「鞘と刀が少し合っていないんだろう。歩くたびに音がする」
アウエルは少し驚いた。
「耳がいいな」
「目が見えない代わりだよ」
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やがて家へ到着した。
質素だが綺麗な家だった。
二人は居間へ案内される。
ソファに腰掛けると、ロランは椅子に座り杖を背に立てかけた。
「さて、何を食べたい?」
「なんでも大丈夫です」
エリンが答える。
「俺は茶だけでいい」
「分かった」
ロランは呼んだ。
「ローラ」
しばらくして足音が近づく。
扉が開いた。
長い茶髪の少女だった。
「呼びましたか?」
彼女は二人を見る。
「この人たちは?」
「客人だ。軽食とお茶を頼む」
「分かりました」
少女は部屋を出て行った。
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「彼女は?」
アウエルが尋ねる。
「ローラだ」
ロランはエリンの方を指差した。
少し方向がずれている。
「君と同じだよ」
「わ、私と?」
「魔法使いなんだ」
ロランは続ける。
「ただしマナの制御が苦手でね」
そこで微笑む。
「だから君たちを招いた」
ちょうどローラがお茶と食事を運んできた。
準備を終えると部屋を出ていく。
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「頼みたいことがある」
ロランが切り出した。
「依頼か?」
「そうだ」
ロランは頷く。
「ギルドへ行くのは面倒でね。書類も嫌いだし、人混みも苦手だ」
そして笑う。
「そんな時に君たちと出会った」
「内容は?」
「ローラに魔法を教えてほしい」
エリンの肩がびくりと震えた。
「で、でも私、高位魔法は使えません……」
「構わない」
ロランは穏やかに答える。
「治癒魔法を教えてほしいんだ」
エリンは困った顔になる。
「私の魔法の覚え方、少し変なんです」
「変?」
説明できず、アウエルを見る。
アウエルが代わりに答えた。
「ガイアを知らないらしい」
ロランの表情が止まる。
「……それは珍しいな」
エリンは慌てて言った。
「今日初めて聞いたんです」
ロランは少し考え込んだ。
「私の知る限り、魔法を学ぶ方法は二つ」
「ガイアを通す方法」
「そして神聖魔法だ」
彼は続ける。
「もっと別の方法があるという話も聞くが、証明されたことはない」
ロランは立ち上がった。
本棚へ向かう。
指先で背表紙をなぞりながら探し、
一冊を取り出した。
「これを使うといい」
本を机へ置く。
「持って行っても構わない」
「えっ!? でも高そうな本ですよ!?」
ロランは笑った。
「構わないさ」
「私はもう読めない」
「それにローラは本を読むのが嫌いでね」
エリンは戸惑いながら本を抱えた。
「ありがとうございます……」
アウエルは本棚へ視線を向ける。
「読めないのに、本が多いな」
そして尋ねた。
「昔は見えていたのか?」
ロランは静かに頷いた。
「ああ」
「生まれつきじゃない」
少しだけ遠くを見るような表情になる。
「事故で失明したんだ」
アウエルは眉を上げた。
「事故?」




