第84話 ジャック出張中
日常回です。書くことが特にないから現れないだけで、マリーは定休日以外ちゃんと店開けてます。
今日も常連夫妻とデニスが来て癒しのハーブスパゲッティをゆっくり食べている。かつてデニスの車椅子を押していた従者も来ているが、癒しのハーブスパゲッティには恐れをなして申し訳なさそうにチョコブラウニーと癒しのハーブティーを主より先に食べ終わらないようにさらにゆっくりとつついている。
「いつもの坊やが居ないけどどうしてるんだい?」
常連の旦那がジャックのことを聞いてきた。テーブルの調味料入れに常備し始めた特別な聖油は彼の発案だと伝えて以来たいそうご贔屓にジャックのことを可愛がってくれている。
「ええ、ちょっと治癒術の講師をしに出張してます。」
シルビアのコミューンにというのは伏せておこう。
「あの若さにして聖女さまの勅令で派遣される治癒講師とはすごいですな。世が世ならば枢機卿ですな」
デニスが余計なことを言う。ボブも大司教とか言われてるしジャックが枢機卿ねぇ……。デニスは私のこと聖女だと認識してた期間が長いから仕方ないけど今は違うっていうのはもう何度も言ってる。世が世ならばと条件もつけてて今は違うということもちゃんと分かってる人だから。
「あんまり私のこと聖女聖女言ってると次治癒してくれって言われても治しませんよ」
「あっ、これは失礼しました。マスター。」
それでよろしい。まあ、戦争からドロップアウトしたデニスはそう簡単に私の治癒を必要になるような事態には陥らないと思うけどね。
「しかしジャックくんが絞ったこれは惚れ惚れするほど美しい調味油ですな」
出張してる間私が絞ってるけれどもジャックが持ってきた聖油が発端だからジャックの調味油ということにしておこう。それに調味料入れにおいてある特製オイルが注目を浴びるって、やっぱりジャックは流石だ。
「このオイルは調味油以外にも色んな使い方があるんですよ。料理にかけるほかにも凝ったところに塗ってマッサージしたり、火にくべて吸っても香り高くてとても良いんですよ」
「これ、王都だと重量あたり金よりも高いやつですよね。ジャックくんが自分で作れて、ここでは調味料として使い放題というのは素晴らしいですね」
「手にとって患部に擦り込むまでは良いですけど、流石にここの食卓で火にくべて吸い出したら怒りますよ。吸いたければ外行って吸ってください。」
デニスたちはアハハと笑った。
「せっかくなので、足に少し塗らせてもらいますかな。時々足がつるので予防として」
先日再生成したばかりのデニスの足はまるでアスリートの若者のように筋肉モリモリで逞しくいかにも走るのが速そうなとても魅力的な姿でドキっとする。
ジャックが坊やと言われて可愛がられてます。




