第80話 勇者パーティー再編
シルビアについては、ボブから聞いてるみたいです。
マリーとジャックは王都でスラと合流し、マリウスのバンを拾ってロムルスとレムスが居るコミューンへと向かう。
ロムルスとレムスが居るコミューンはシルビアとその恋人タイスが中心となり自然拡大していつの間にかファミリーとなって成長してきたが、自発的な帰農運動がベースとなっていて、農地のそばに定住している。
バンの奥では謎の男がサンダルウッドの香を焚きシタールを弾いて♪〜Further on the travel...と歌ってるが、マリウスはそれを気にもかけず虚ろな目をしてハンドルを握っている。男子3日会わざれば刮目して見よとはよく言ったものだ。人間ってもんはこんなにもすぐに変わることが出来るとは。
シルビアのコミューンに着き、ファミリーと共にロムルスとレムスが食事をしてるところを見つけるが、魔王収穫には乗り気でないようだ。
「やっと手に入れた安寧を何で魔王討伐のために手放さなくちゃならないんだ!マリウス、目を覚ませ!」
「僕たち双子は生まれる前からシルビア母さんの息子だったんだよ!」
ロムルスとレムスはかなりの重症だ……。しかしシルビアはボブによると悪い娘ではないと聞いてる。変な薬で洗脳したとかじゃなくて2人が勝手に暴走してるだけだと思いたい。
ともかくシルビアと交渉するしかない。何より魔王討伐ではなくて魔王収穫であって、先週マリーとジャックだけでもかすり傷一つなくハーブを籠に山盛り摘んで帰ってきた安全な作業なのだから。
シルビア……と声を掛けようとしたら向こうから声をかけられた…。
「聖女さま!お願いします。この子を救ってください。」
そこには全身強張り震えながら一歩一歩歩くのをシルビアが介抱しながら連れてきている少年が居た。
「こ、これは麻痺性の神経症ね……。筋肉を制御する伝達物質の分解作用が優位になり分泌機能まで分解を始めて、筋肉という筋肉がお互いに動こうとしながら制止しあってかろうじて動いている、心筋や呼吸も侵されていくとても危ない状態……。」
これを治癒できるのは聖女の規格外の治癒魔術だけだが、こと脳内の話なので四肢欠損への術式を適用したら周りがドン引きだしそれが同じ自我を持った人間なのか曖昧になってくる。出来ることは分解作用を超える伝達物質を外部から供給して進行を止めることだけ。あとは自力の回復力に期待するほか無い。
確かにわたくしは代わりの脳神経細胞を再生させることは出来るけれども、それは超えてはいけない一線。
「これは私の力で治すことは出来ません。でもこの子自身に再生能力がのこっていれば、それを邪魔する作用を無力化して再生に専念させることと、ひとときの解放はもたらすことができます」
シルビアは涙を流しながら懇願した。
「出来ることは何でもします。この子を救ってください」
「じゃあ、定期的にロムルスとレムスに手伝ってもらうので言い含めておいてくださる?」
実はシルビアのキャラ設計あんまり真面目にしてなくてポッと出の脇役くらいなんですけど、何が起きても動じずに受け入れる底抜けの包容力があるし、困ってる人を見ると拾ってきてコミューンに迎え入れる手癖があるみたいな、むしろ王道ラノベのヒロインムーブするくらいの設定です。




