第5話 仕事中ナンパすんな
問題が発生した場合に備え自衛隊では装甲車とヘリの緊急出動に備えがされ南署の地下駐車場では署長専用の覆面パトカー・マックスとマシンガン・ガトリング銃座組立・RPGの点検がなされ
表向き国の許可のない南署秘密兵器6輪装甲車
通称『ブルドック』も動作確認が進み二台あるゴツイ顔の装甲車は初出動を待っていた。
その場合、乗り込むのは愚連隊鬼軍曹こと副署長・秋葉と特殊機動部隊・チャレンジャーの面々と決まっている。
黒服の遺体二名の輸送には表向き、これまた国の許可なくパワーアップしたエンジンが搭載され防弾ガラス・対爆発物対応装甲が改造装着された犯人護送バス通称ブレーメンが使用されるとしたが
実際はバスをダミーとして
本当の輸送は
署長専用の覆面パトカー・マックスに二名の遺体は積まれることになった。
署長は、これを身内の警察にもマスコミにも漏らさず秘密裏に行わなければならない。
一つ間違えば、国際問題に発展しかねない状況。
日本国で一番デリケートなのは尖閣でも竹島でも北方領土でもない。
この津軽海峡の海底トンネル・各国潜水艦のシークレット行動、東北原子力施設群、仮想敵国を迎え撃つべく配備された千歳・函館・三沢の自衛隊だ。
そして無関係なはずの恐山の神々もそれを静観していた。
「なにさが、はじまったみてぇだな」
(なにか始まったようだな?)
「んんだぁごったぁ」
(そのようだな)
「よその《《まもの》》がぁ?」
(異世界の魔物か?)
「わがんねぇ、まっとよぐみえるどごさ、あんべ」
(わからん、もっとよく見えるとこに行こう)
「おつきさんが?」
(ひょっとして月の?)
「んだがもな」
(そうかもな・・・)
「かっ」
(おい、お前も来い!)
「わもな」
(俺も?)
「やっとあんべぇ」
(いいから行くぞっ!)
事の重大さに気が付いているのはアメリカと関係各所の上層部と南警察署・署員全員のみだ。
南署管轄地域では、生活安全課と交通課が合同で出張って非常線を貼り、大規模な検問が行われていた。
事件当日午後、函館港に、どこにいたのかアメリカ国籍の多目的巡洋艦が静かに入港し燃料補給を行った。
そして函館南警察署の受付にキャップをかぶりTシャツにジーンズ姿の白人男性が二人現れた。
「we are from Washington」
(私たちは、ワシントンから来ました)
そう言うと二名の白人は立ち尽くした。
「Welcome, Washington, please wait a moment.」
(ようこそ、いらっしゃいました・ワシントン、少々お待ちください。)
緊急に受付で対応したのは宮田ミキであった。
内線を使用して
「署長、ワシントンの方2名がいらっしゃいました」と言うと
「了解です、では二人を署長室まで、あなたが案内してください」
「了解いたしました」
ワシントンと名乗る二名は身分証明の提示はなく、ミキも身分証明証の提示は求めなかった。
例の黒い服の遺体を回収に来た工作員なのは明白だった。
ミキは二人を案内して廊下を歩いていると白人の一人が
「you're so cute but are you single?」と聞いてきて
(君は大変キュートだが独身か)
イケメン外人の質問に
ミキは面食らってしまい作り笑顔をするのが精一杯だった。
署長室では銀色のアタッシュケースが有線ネットワークに繋がれ
ワシントンを名告る二名の身元確認準備がされていた。
やがて謎の通称ブラックメンの遺体、引渡しは無事に済み自衛隊の出動も南署愚連隊の出動もなく
あっさりと通常の勤務に皆、戻った。
「やれやれ・・・」
一凜署長は、疲れてサプリメントを胃袋に水で流し込むと署内の仮眠室で眠りに就いた。




