第10話 密談
数日後、博士の思いついた事が署長に告げられた。
「厳道さんの報告によれば犯人に一度会っているのですよね、アメリカ人とか、その後ヤハウェイ・ブレーキ現象で時が止まり犯人逮捕は延期」
「そうよ」
「しかも、ナムサンのサーチで核の保管場所もわかっている、これは多分向こうの敵も同じとすれば、戦争になるか話し合いになるかですが、未だに何の交渉も無い、であれば攻撃してくるのを待っていると考えられます」
「・・・・」
「しかし矛盾があります、一般人が三名、こちらの人間が死亡しています。
殺人ほど目立つ犯罪はありません、だが一切、証拠が残っていない、あるとしても死体のみです。我々は核に対してアガルタロックで封鎖してしまえば被害は最小限に留まると予想します。
あんな偽札の製造技術まであるのです。目的が解りません。
ただし相手が月の住人でと云うのも考えましたが、魂の収容所、こんな修行に適した地球を月が破壊する理由がありません。
時間の概念が無いに等しくとも地球を破壊し元に戻すには200万年かかるとも
計算に出ております。
残る理由は我々南警察のサーチ、または誰かの企てた試験なのではないでしょうか?
それが証拠にマンダラマシンが沈黙しているではありませんか?」
「そうだな、結局、苦労するのは私たちだけと云うのも、それであれば納得できるかもしれないな・・・」
「署長、苦労だなんて似合いませんよ、戦争ゲームです。タイムマシンが無ければゲームなどと穿った事は絶対に言いませんが」
「たとえゲームだと考えても被害者が出るのは嫌だ、心に傷を残すからな、それに署員たちの士気にも関わる、この考えは他言無用で行くからな、いいな」
「了解しました、まぁ何度も過去に行ったり来たりも大変ですしね、しかし過去に干渉しても量子もつれの自浄作用で未来には何も影響が無いとは、大いなる意思を感じますな」
「それはな宇宙のアカシックレコードが不変だという証拠になると、私は思っているんだ、ただし、それは全体の流れの話で地球人一人ひとりには、細かくだったり大きくだったり影響が出る。
現に博士の子供たちはアメリカで政府高官に就任したじゃないか・・・」
「はぁ、あれには感謝しています。ありがとうございます」
「違うよ、あれは北条がより自由に動くための采配だから、決まっていた事なんだ、それを実現できたんだから感謝してるのはコチラの方です」
「ただですが・・・何か単純過ぎませんか、この状況。
何か、きっと何か大変な事が起はしないかと何か妙な心配というか胸騒ぎがしませんか」
「それは心配いらん博士、我々には天の神、地の神、八百万の神々が見守ってくださっている、これは日本国の特権だ、この胸の騒めきは、彼らのエネルギーを感じている証拠なんだ、どんな小さな事でも良い、発見や思い付きは、いつでも報告してくれ、ラボと南署の守り、頼んだぞ博士」
「はい、了解しました、今更ですが私、南署に来れて本当に良かったと思っています」
「なんだ、遺言か?死ぬのも消滅も、この私が許すとでも思うか」
「はぁ、署長には誰もかないません」
「恐れ入ったか、あはははははっ」
「あのーナムサンは今、どこですか」
「うん、体のメンテナンスと情報収集のためアガルタに行っている」
「はぁー又、北極ですか、何だかんだで、やっぱり神なんですな彼ら」
「そんなこと間違ってもアイツらに云うなよ、調子にのるからな」
「あはは、そうですね・・・早く帰ってこないかな」
「それは私も同じだ・・・」
南署では、署員総出で作戦準備が着々と進められていた。




